ベル・ビヴ・デヴォー

ベル・ビヴ・デヴォーとは

ベル・ビヴ・デヴォー（Bell Biv DeVoe）、通称BBDは、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストン出身の著名な音楽グループです。このトリオは、人気R&Bグループ、ニュー・エディションの主要メンバーであったリッキー・ベル、マイケル・ビヴィンス、ロニー・デヴォーの3人によって構成されています。

彼らは特に、1990年にリリースしたデビュー・アルバム『ポイズン（Poison）』で広く知られるようになりました。このアルバムはマルチプラチナムを記録する大成功を収め、1990年代初頭に流行したニュージャックスウィングというジャンルにおいて、極めて重要な位置を占める作品とされています。

ニュージャックスウィングは、伝統的なソウルやR&Bの旋律に、当時の最新であったヒップホップのリズムとプロダクションを融合させた新しい音楽スタイルであり、BBDはそのパイオニアの一つとして認識されています。『ポイズン』からは、タイトル曲「ポイズン」とセカンド・シングル「ドゥ・ミー!（Do Me!）」が生まれ、いずれも1990年に米ビルボードの主要チャートであるHot 100で3位にランクインする大ヒットとなりました。その後も、バンドはさらに3枚のオリジナル・アルバムを発表しましたが、デビュー作『ポイズン』ほどの商業的な成功には至りませんでした。グループの最新アルバム『Three Stripes』は2017年に発表されています。

来歴と活動

ベル・ビヴ・デヴォーのメンバーであるリッキー・ベル、マイケル・ビヴィンス、ロニー・デヴォーは、もともと1981年にボストンで結成され、プロデューサーのモーリス・スターに見出された5人組グループ、ニュー・エディションの創設メンバーでした。ニュー・エディションとして、「Candy Girl」や「Cool It Now」など数々のヒット曲を放ち、1980年代を通じてその人気を不動のものとします。しかし、メンバー交代や音楽性の変化を経て、グループは一時的に活動を休止します。1989年の休止期間中、著名なプロデューサー、ジミー・ジャム＆テリー・ルイスの勧めもあり、リッキー・ベル、マイケル・ビヴィンス、ロニー・デヴォーの3人は新たなグループを結成することを決意し、MCAレコードと契約を締結しました。

パブリック・エナミーとの仕事で知られるエリック・サドラーや、ハンク＆キース・ショックリーといったプロデューサー陣の協力を得て、彼らは1990年にアルバム『ポイズン』を発表します。この作品は、ヒップホップ、ファンク、ソウル、ポップといった要素を巧みに融合させたサウンドで、ニュージャックスウィングの新たな基準を打ち立てたと評価されました。『ポイズン』はビルボードのR&B/ヒップホップ・アルバム・チャートで首位を獲得し、先行シングル「ポイズン」と「ドゥ・ミー!」のヒットにより、アルバムは全米で400万枚以上を売り上げ、トリプル・プラチナムに認定される爆発的な成功を収めました。これらのヒット曲は、リチャード・ウルフとエピック・マズールによるリミックス版も制作され、「ドゥ・ミー!」のリミックスはダンスチャートでもヒットを記録しました。また、『ポイズン』からは「B.B.D. (I Thought It Was Me)?」、「When Will I See You Smile Again?」、「She's Dope!」といったシングルも生まれています。この成功を受けて、翌年にはリミックス・アルバム『ブートシティ!（WBBD-Bootcity!: The Remix Album）』もリリースされました。

『ポイズン』の成功後、BBDは1993年にセカンド・アルバム『フーティー・マック（Hootie Mack）』を、2001年にはサード・アルバム『BBD』をリリースしました。『フーティー・マック』はゴールド認定を受けるなど一定の成功を収めましたが、いずれの作品もデビュー作の売上には及びませんでした。その後、2017年には実に15年ぶりとなるオリジナル・アルバム『Three Stripes』を発表しています。

アルバムリリースのペースは決して速くありませんでしたが、ベル・ビヴ・デヴォーはグループとして、あるいはオリジナル・メンバーが揃ったニュー・エディションとしての再結成ツアーなど、継続的にライブやツアー活動を行っています。彼らは現在もファンを魅了し続けています。

特筆すべき活動として、2013年5月にはボストンマラソン爆弾テロ事件の犠牲者支援を目的としたチャリティ・コンサート「ボストン・ストロング」に出演し、ヒット曲「ポイズン」を披露しました。また、2008年にはユニバーサル・スタジオで発生した火災により、他の多くのアーティストと同様に、彼らのオリジナル音源の一部が失われたと報じられています。

受賞歴

ベル・ビヴ・デヴォーは、その功績に対し、いくつかの主要な音楽賞を受賞しています。

1991年 ソウル・トレイン・ミュージック・アワードにて、アルバム『ポイズン』が「ベストR&B/アーバン・コンテンポラリー・アルバム・オブ・ザ・イヤー、グループ、バンドまたはデュオ」を受賞。
1992年 アメリカン・ミュージック・アワードにて、「フェイヴァリット・ソウル/R&Bバンド/デュオ/グループ」を受賞。

ディスコグラフィ（主要作品）

スタジオ・アルバム

『ポイズン』 - Poison (1990年)
『フーティー・マック』 - Hootie Mack (1993年)
『BBD』 - BBD (2001年)
Three Stripes (2017年)

リミックス・アルバム

『ブートシティ!』 - WBBD-Bootcity!: The Remix Album (1991年)

コンピレーション・アルバム

Bell Biv DeVoe Greatest Hits (2000年)

代表的なシングル

「ポイズン」 - "Poison" (1990年)
「ドゥ・ミー!」 - "Do Me!" (1990年)
"B.B.D. (I Thought It Was Me)?" (1990年)
"When Will I See You Smile Again?" (1991年)
"She's Dope!" (1991年)
「ワード・トゥ・ザ・マザー!」 - "Word to the Mutha!" (featuring Bobby Brown, Ralph Tresvant and Johnny Gill) (1991年)
"The Best Things in Life Are Free" (Luther Vandross featuring Janet Jackson, BBD and Ralph Tresvant) (1992年, 1995年)
「ギャングスタ」 - "Gangsta" (1993年)
* "Run" (2016年)

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