ベレッタM1951

ベレッタM1951

ベレッタM1951（イタリア語: Beretta M1951）は、イタリアのベレッタ社が設計した自動拳銃です。この銃はM951、M51、あるいはブリガーディア（Brigadier、准将）とも呼ばれています。以下に、この拳銃の来歴や設計、派生型、配備状況について詳しく解説します。

来歴

第二次世界大戦後、イタリア軍は大戦中に様々な火器を使用していたため、弾薬の規格が不統一であり、兵站に大きな影響を与えていました。この問題を解決するため、国産の一貫した拳銃の開発が必要とされました。新たに選定された弾薬は、9x19mmパラベラム弾です。この弾薬は当時のヨーロッパで広く普及していました。ベレッタ社は、1930年代に開発を始めていた9mmパラベラム弾使用の拳銃のプロジェクト再開を決定し、1949年からM1950の試作が始まりました。

多様な設計コンセプトが試験されましたが、最終的には独立ロッキング・ラグ式の構造が選ばれ、それをベースに量産が行われました。この仕様がベレッタM1951となります。

設計

ベレッタM1951の設計は、ベレッタ社が1930年代に開発した.380ACP弾仕様のM1934拳銃を基にし、9x19mmパラベラム弾に対応する形で拡大されています。特にスライド上部を切り取ってバレルを露出させる設計は、排莢不良を防ぐための工夫です。

閉鎖方式には独立ロッキング・ラグ式が採用され、これはワルサーP38を参考にしたものです。バレルは水平にショートリコイルして、底部の降下式ロッキング・ラグによってスライドと密接に連動します。この設計は後のベレッタ92モデルにも引き継がれました。

また、ハンマーは露出式で、撃発方式にはシングルアクションが選ばれました。安全装置はクロスボルト式で、試作型ではトリガー後方にありましたが、本銃ではグリップ上部に配置されています。この方式には慣れが必要で、使用者によってはどちらの方向に押せば安全になるか分かりづらいという問題があります。弾倉はシングルカラム式となっており、マガジンキャッチ・ボタンはグリップの下部左側に設置されていますが、この位置は一手での操作には不便とされています。

派生型

1963年には7.65x21mmパラベラム弾を使用するモデルが登場し、1972年には改良型のM1952が製造されました。また、射撃競技用の派生型も多く、1957年にはエジプト政府の要請でM51/57 ベルハマが開発され、1971年には8mmパラベラム弾仕様に変更したM52 スペシャルが登場しました。

M1951のバリエーションの一つとして、M1951Rがあり、これはロングバレルとロングマガジンを備えたマシンピストル型です。対テロ部隊に配備され、装弾数は増加していますが、フルオート射撃時の制御には熟練を要します。後継機のベレッタM93Rでは、命中精度向上のため3点バースト機構が導入されています。

配備

M1951は1951年にイタリア軍で正式に採用され、警察でも使用されました。また、イスラエル、エジプト、シリア、イラクを含む多くの国に輸出され、エジプトやイラクではそれぞれヘルワン（Helwan）、タリク（Tariq）としてライセンス生産も行われています。

このように、ベレッタM1951は設計の優れた自動拳銃として、長い歴史と多様な用途を持っており、現在でも多くのフィールドで活用されています。

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