ベレロフォン (戦列艦)

HMSベレロフォンの歴史

HMSベレロフォン（HMS Bellerophon）は、ナポレオン戦争の時代に活躍したイギリス海軍の戦列艦で、74門を装備した3等級の艦艇です。この艦の名前は、ギリシャ神話の英雄ベレロポンに由来しています。彼はペガサスに乗り、怪物キメラを退治したことで知られています。進水は1786年の10月で、当時の海軍大臣であった第4代サンドウィッチ伯爵ジョン・モンタギューの趣味が反映されています。この艦はイギリス海軍においてこの名前を持つ初の艦艇でした。

戦歴のハイライト

ベレロフォンはその生涯において、3つの重要な海戦に参加しました。それぞれの戦闘では名誉を重んじ、数多くの犠牲を伴いながらも艦の存在感を示しました。

1. 栄光の6月1日の海戦（1794年6月1日）
ウィリアム・ホープ艦長の指揮のもと、この戦闘で艦は4人の戦死者と27人の負傷者を出しました。これは新たな海上戦の激しさを象徴するものでした。

2. ナイルの海戦（1798年8月1日）
ヘンリー・ダービー艦長が指揮を執り、艦は49人の戦死と148人の負傷を経験しながらも、イギリスの海軍力を示す重要な海戦となりました。

3. トラファルガーの海戦（1805年10月21日）
ジョン・クック艦長が指揮する中、ベレロフォンはコリングウッド提督の指揮の下、右側の戦列で5番目の位置を占めました。この戦闘ではフランス艦レーグル（L'Aigle）との激しい交戦が繰り広げられ、艦長を含む27人の戦死者と123人の負傷者を出しました。艦が大破しても、指揮権は副長のウィリアム・プライス・カンビー海尉に引き継がれ、艦は無事ジブラルタルに帰還しました。

ナポレオンの降伏

1815年6月18日に行われたワーテルローの戦いで敗北したナポレオンは、6月22日に退位し、ロシュフォール港からアメリカへの亡命を試みました。しかし、イギリス艦隊による港の封鎖があり、その計画は失敗に終わります。7月15日、ナポレオンはエックス島付近の港で、HMSベレロフォンに投降しました。艦長フレデリック・ルイス・メイトランドは、その後の寄港時に上陸を許さず、プリマスに向かいました。情報は漏れ、到着時にはナポレオンの存在が広く知られることとなりました。

ナポレオンは上陸を許されず、固く警備されていました。8月4日、彼はセント・ヘレナ島への配流が命じられ、ベレロフォンはプリマスを出港して、護送任務に就いた戦列艦ノーサンバーランドにナポレオンを引き渡しました。彼は結局、英国の地を踏むことなく、海外へと去っていきました。

解体までの道のり

1815年に現役を退いたHMSベレロフォンは、のちに監獄船として使用されることになります。その後、1824年には「キャプティヴィティ」という名前に改名され、1836年1月12日に解体のために売却されました。艦の長い歴史の幕が閉じる瞬間でした。

おわりに

HMSベレロフォンは、その戦歴とナポレオンとの関わりにおいて、イギリス海軍の歴史において特異な存在となりました。彼女の存在は、その時代の軍事力や海洋戦略を象徴するものであり、今なお多くの人々に記憶される艦艇として名を刻んでいます。

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