ベンソン&ヘッジス

ベンソン＆ヘッジス：世界に広がった英国タバコブランドの軌跡

ベンソン＆ヘッジス(Benson & Hedges, 略称B&H)は、イギリスを代表する歴史あるタバコブランドです。1873年、リチャード・ベンソンとウィリアム・ヘッジスによって設立された同社は、1878年にはイギリス王室御用達にも認定され、長きに渡りその地位を確立しました。王室御用達の証である紋章は、1999年までパッケージに刻印されていました。

世界への広がりと複雑なブランド展開

20世紀に入ると、ベンソン＆ヘッジスは北米市場にも進出しました。しかし、1950年代には、北米における事業がフィリップモリスに買収されるという転機を迎えます。この買収は、米国とカナダの法人それぞれを対象として行われ、現在でも北米におけるベンソン＆ヘッジスの製造販売はフィリップモリス系列企業によって行われています。

一方、イギリスにおけるベンソン＆ヘッジスは、1955年にギャラハーグループに買収されました。その後、1956年には北米以外の海外事業がブリティッシュ・アメリカン・タバコ（BAT）に買収され、ブランドの製造販売はフィリップモリス、ギャラハー、BATの3社に分散されるという、複雑な展開をみせることになります。日本市場においては、1974年に発売されましたが、その後市場から撤退しています。

2007年に日本たばこ産業（JT）がギャラハーグループを買収したことで、現在では、ベンソン＆ヘッジスの権利は、フィリップモリス、JT、BATの3社にまたがることとなっています。この複雑な歴史的経緯により、世界各地で異なる企業がベンソン＆ヘッジスのタバコを製造・販売している現状があるのです。

スポーツへの多大な貢献：スポンサー活動

ベンソン＆ヘッジスは、長年に渡り、世界的なスポーツイベントのスポンサーとして積極的な活動を展開してきました。その活動は、単なる広告宣伝の枠を超え、各競技の発展に貢献してきたと言えるでしょう。

特に、モータースポーツ界では、1996年から2005年にかけてF1ジョーダン・グランプリチームのスポンサーを務めました。たばこ広告規制の厳しいヨーロッパでのレースでは、ブランド名をもじったメッセージを車体に掲示するなど、巧みな広告戦略を展開しました。

また、イギリスで高い人気を誇るスヌーカーでは、1975年から2003年までマスターズ大会の冠スポンサーを務めました。さらに、イギリス競馬においても、1972年から1985年までは、主要な競走の名称にブランド名が冠せられていました。オーストラリアでは、クリケットの世界選手権やワールドシリーズカップなどをスポンサーし、クリケット界の発展にも貢献しました。

結論

ベンソン＆ヘッジスは、英国王室御用達に認定されるなど輝かしい歴史を持ち、世界中にその名を知られるタバコブランドとなりました。しかし、そのブランド展開は、歴史的な買収劇や、各国の規制によって非常に複雑なものです。長年に渡るスポーツへのスポンサー活動も、ブランドイメージの確立に大きく貢献しました。現在も世界中で愛煙家たちに親しまれるベンソン＆ヘッジスは、たばこの歴史の中で重要な位置を占めるブランドと言えるでしょう。

もう一度検索