ベントレー・Rタイプ

ベントレーRタイプ：戦後高級車の進化とスポーツ性

1952年から1955年にかけてベントレーが生産したRタイプは、同時期に製造されたロールスロイス・シルヴァードーンと深い繋がりを持つ高級乗用車です。Rタイプは、兄弟車と言えるシルヴァードーンがマイナーチェンジしたのに対し、ベントレー側ではモデルチェンジという位置づけで発表されました。文献によっては「マークVII Rタイプ」と呼ばれることもあります。

シャシとボディの改良

Rタイプでは、シャシの改良と標準的なスチールボディの延長によってトランク容量が拡大されました。トランスミッションは、右ハンドル車はシート右横のフロアシフト、左ハンドル車はコラムシフトという構成です。特筆すべきは、1952年には4速オートマチックトランスミッションがオプション設定され、1953年には左ハンドル車に標準装備、1954年には右ハンドル車にも標準化されるなど、当時としては革新的な技術が導入されました。
ボディはロールスロイス製のスタンダードスチールボディが基本でしたが、顧客の要望に応じてコーチビルトボディも用意されていました。1955年、シルヴァードーンがシルヴァークラウドにモデルチェンジしたのと同時に、Rタイプは後継モデルであるSタイプへとバトンタッチし、生産を終了しました。総生産台数は2,320台にのぼり、そのうち303台がコーチビルトボディでした。

Rタイプ・コンチネンタル：スポーツ性を追求した傑作

第二次世界大戦後、ベントレーはロールスロイスとの共通性が高まり、ブランドとしての個性を失いつつありました。この反省から生まれたのが、Rタイプ・コンチネンタルです。このモデルは、戦前のベントレーが持っていたスポーツ性を復活させることを目指して開発されました。

Rタイプ・コンチネンタルは、圧縮比の向上（6.75から7.25へ）、2ドアコーチビルトボディの採用、軽量化（標準Rタイプ比約234kg減）など、性能向上のための様々な工夫が凝らされています。最終減速比の変更と空気抵抗低減により、優れた加速性能を実現し、SS¼マイルを18.5秒で駆け抜けることができました。
トランスミッションは当初4速マニュアルトランスミッションでしたが、1954年にはオートマチックトランスミッションがオプション設定されました。これに伴い、Sタイプやシルヴァークラウドに搭載されることになる4,887ccエンジンが先行して搭載されました。

総生産台数は208台と少なく、ボディは全てコーチビルトです。その内訳は、H・J・ミュリナー製クーペが193台と大半を占め、パークウォード、グレイバー、フラネイ、ピニンファリーナといった著名なコーチビルダーによるボディも存在しました。最高速度は171km/hから188km/hに達したとされ、戦後のロールスロイス/ベントレーの中でも最も優れた車の一つと評価されています。

特に注目すべきは、生産4号車をアメリカの実業家であるブリッグス・カニンガムが購入し、エンジンを後に4.9リットルに載せ替えて愛用したことです。これは、Rタイプ・コンチネンタルの性能の高さと、コレクターの間での高い人気を象徴するエピソードと言えるでしょう。

まとめ

ベントレーRタイプは、技術革新とスポーティな走りを両立させた、戦後高級車の歴史において重要なモデルです。Rタイプ・コンチネンタルは、その中でも特に希少価値が高く、コレクター垂涎の的となっています。その高い性能と洗練されたデザインは、現在でも多くの人々を魅了し続けています。

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