ベンハム級駆逐艦

ベンハム級駆逐艦について

ベンハム級駆逐艦（Benham-class destroyers）は1938年から1939年にかけてアメリカ海軍に就役した駆逐艦の艦級であり、合計10隻が建造されました。この艦級は、先行するグリッドレイ級やバッグレイ級と基本的に同じ設計と性能を持ちつつ、特有の変更が加えられています。

概要

外観と設計
ベンハム級の艦は、外観や性能がグリッドレイ級やバッグレイ級に似ているため、初見では区別がつきにくいのが特徴です。これらの艦は重武装が求められていたため、4つの主砲を搭載するデザインが持ち込まれました。ただし、重武装によるトップヘビー（重心が上に偏ること）の問題が指摘されることもあり、設計上の挑戦に直面していました。

主缶については、バブコック&ウィルコックス社製の高圧缶を採用し、減少した缶の数（4基から3基）で加圧を実現しましたが、艦の総排水量は依然として増加し続けました。これは防御力や機動性といった面での悩みを引き起こしました。

戦歴と兵装の変遷

第二次世界大戦において、ベンハム級の艦は主にアメリカ海軍の一員として多くの戦歴を持ちます。参戦前からは中立パトロールに従事し、戦局が緊迫する中でベンハム（USS Benham）とエレット（USS Ellet）は太平洋艦隊へ、残る艦は大西洋艦隊へと配属されました。

大西洋艦隊に属する艦は、アイスランド侵攻やペデスタル作戦、ドイツへのトーチ作戦に参加し、重要な役割を果たしました。また、艦隊の一部は空母ワスプ（USS Wasp）を護衛し、太平洋戦線でも任務を遂行しました。特に、ベンハム級の艦は著名なドーリットル空襲やミッドウェー海戦、ガダルカナル島の戦いなどに参戦し、その過程で重要な戦果を上げました。

しかし、第三次ソロモン海戦においてはベンハムが沈没し、さらに1943年8月6日のベラ湾夜戦では、他の艦と共に日本海軍の駆逐艦を撃沈しました。このように、艦は数々の戦闘を経て進化を遂げ、対空火器や対潜兵装の増強が行われました。特にラング（USS Lang）とスタレット（USS Sterett）は1945年に魚雷発射管を削減し、対空火器の装備強化に転じました。

同型艦

ベンハム級には以下の艦が含まれます：

• - ベンハム（USS Benham, DD-397）
• - エレット（USS Ellet, DD-398）
• - ラング（USS Lang, DD-399）
• - メイラント（USS Mayrant, DD-402）
• - トリップ（USS Trippe, DD-403）
• - リンド（USS Rhind, DD-404）
• - ローワン（USS Rowan, DD-405）
• - スタック（USS Stack, DD-406）
• - スタレット（USS Sterett, DD-407）
• - ウィルソン（USS Wilson, DD-408）

各艦に由来する人物が居たことも、これらの艦の歴史や役割に深い背景を与えています。戦後、いくつかの艦はスクラップとして処分され、残りの艦は核実験のために使用されたり、海没処分されたりしました。

ベンハム級の駆逐艦は、戦争におけるアメリカ海軍の重要な一部を形成し、その運用経験や新しい兵装の導入は、後の艦設計に影響を及ぼしました。

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