ペギー・グランヴィル＝ヒックス

ペギー・グランヴィル＝ヒックス

ペギー・グランヴィル＝ヒックス（Peggy Glanville-Hicks、1912年12月29日 - 1990年6月25日）は、オーストラリア出身の重要な作曲家の一人です。南東部の主要都市であるメルボルンに生を受けました。

生涯

彼女の音楽教育は、主に海外で行われました。特に、1931年から1936年にかけては、イギリスの首都ロンドンにある名門、王立音楽大学にて研鑽を積んでいます。ここでは、多岐にわたる分野の著名な指導者から教えを受けました。具体的には、ピアノ演奏をアーサー・ベンジャミン氏に、指揮法をコンスタント・ランバート氏およびマルコム・サージェント氏に師事し、作曲の指導は高名なレイフ・ヴォーン＝ウィリアムズ氏から受けました。さらに、ロンドン以外でも学びを深めており、フランスのナディア・ブーランジェやオーストリアのエゴン・ヴェレスといった大家からも音楽的な示唆を得ています。これらの多様な学びが、彼女独自の音楽スタイルの基盤を形成しました。

作曲活動と並行して、ペギー・グランヴィル＝ヒックスは音楽批評家としても知られています。特に、1949年から1958年までの約10年間、アメリカ合衆国の主要紙であるニューヨーク・ヘラルド・トリビューン紙において、専門的な音楽批評を担当し、当時の音楽シーンに鋭い視点を投げかけました。

1950年、彼女はイギリスを離れる決断をしました。その後、1978年までの長い期間、南ヨーロッパの国ギリシャに居を構え、その地で創作活動を行いました。1978年以降はギリシャを離れ、晩年となる1980年代に故郷オーストラリアへ帰国しました。

オーストラリア帰国以前、彼女はアメリカ合衆国滞在中に、作曲家ジョージ・アンタイルによる前衛的な作品『バレエ・メカニック』の編曲を手掛けています。この作品をパーカッションアンサンブル向けに編曲したことは、彼女の多様な音楽への関心と技術を示す一例です。

私生活においては、イギリスの作曲家であるスタンリー・ベイトと結婚していました。二人の婚姻期間は1938年から1949年まででした。

主な作品

ペギー・グランヴィル＝ヒックスは、オペラ、管弦楽、室内楽など、幅広いジャンルにわたる作品を残しています。

代表的な管弦楽曲としては、『太平洋交響曲』、『エトルリア協奏曲』、『ロマン的協奏曲』などが挙げられます。

室内楽作品では、著名なハープ奏者ニカノール・サバレタによって初演された『ハープソナタ』が特に知られています。

オペラ作品では、ゲーテの小説に基づく『すげかえられた首』、ホメロスの叙事詩に基づく『ナウシカ』、古代ギリシャの女流詩人を題材とした『サッフォー』といった、文学や神話に題材を取った作品を創作しています。

ペギー・グランヴィル＝ヒックスの作品は、彼女の国際的なキャリアと多様な経験を反映しており、20世紀オーストラリア音楽史において重要な位置を占めています。

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