ペダル・スティール・ギターとは？意味をやさしく解説

ペダル・スティール・ギター：多様な音楽表現を可能にする楽器

ペダル・スティール・ギターは、スティール・ギターの一種で、コンソール型にペダルとニーレバーが追加された楽器です。これにより、従来のスティール・ギターよりも複雑で多様な音楽演奏が可能になっています。

特徴

他のスティール・ギターと同様に、ペダル・スティール・ギターもグリッサンドや深いビブラートをかけることができ、人間の声のような表現力を持っています。1950年代にペダルとニーレバーが追加され、演奏者はバーを動かさずに音階を弾いたり、コードを弾きながらペダルを踏むことで、独特のハーモニーを生み出すことができるようになりました。

歴史

スティール・ギターは19世紀のハワイで生まれ、20世紀前半にはアメリカで人気を博しました。ギターを水平にして演奏する「ハワイアン・スタイル」が確立され、ラップ・スティール、リゾネーター・ギター、エレクトリック・スティール・ギターなどが開発されました。ペダル・スティール・ギターは、これらの楽器の進化の延長線上にあります。

誕生

19世紀後半、スペインのギターがハワイに持ち込まれました。ハワイの人々は独自のチューニングを開発し、スチールバーを弦の上でスライドさせて演奏するスタイルを生み出しました。

電子的な増幅

ハワイのラップ・スティール・ギターの音量を上げるため、様々な発明が行われました。ジョージ・ビーチャムはジョン・ドピエラ兄弟と協力してリゾネーター・ギターを開発し、その後、世界初の電気楽器であるリッケンバッカー・フライング・パンを開発しました。

ラップ・スティールからコンソール・スティールへ

初期のラップ・スティールはギターの形状を残していましたが、次第に長方形の木塊型になり、エレクトリック・ピックアップが搭載されました。複数のネックを持つコンソール・スティールも登場し、演奏者はネックを切り替えることで異なるボイシングで演奏できるようになりました。

コンソール・スティールからペダル・スティールへ

複数のネックを持つ楽器は高価だったため、より洗練された解決策が求められました。1940年代には、弦のピッチを一度に変更できるペダルを搭載したギターが登場し、ポール・ビグスビーによって設計されたペダルシステムが成功を収めました。

カントリー・ミュージックにおけるペダル・スティールの誕生

1953年、バド・アイザックスがペダルを使って弦の音程を変化させる演奏法を開発し、カントリー・ミュージックに新たなサウンドをもたらしました。ゼイン・ベックはペダル・スティール・ギターにニーレバーを追加し、より多様なピッチ変更を可能にしました。

バディー・エモンズの貢献

バディ・エモンズは、アイザックスの演奏に触発され、それぞれ異なる弦を制御する2つのペダルを搭載したギターを開発しました。彼はまた、現代のE9楽器に標準で採用されている2本の弦と3つ目のペダルを追加しました。

演奏

ペダル・スティール・ギターの演奏には、両手、両足、両膝の協調性が求められます。ペダルとニーレバーを操作することで、独特の音色とハーモニーを生み出すことができます。

使用される音楽ジャンル

ペダル・スティール・ギターは、一般的にカントリー・ミュージックと関連付けられていますが、セイクリッド・スティール、ジャズ、ジュジュなど、他のジャンルでも使用されています。日本においては、1970年代の荒井由実や大瀧詠一の作品に駒沢裕城が参加したことで広く知られるようになりました。

現代ではロックバンド・スピッツの楽曲などにも使用されています。

ペダル・スティール・ギター