ペトロパブロフスク・カムチャツキー航空251便墜落事故 (2021年)

ペトロパブロフスク・カムチャツキー航空251便墜落事故の概要

2021年7月6日、ロシアのカムチャツカ地方で、ペトロパブロフスク・カムチャツキー航空251便が墜落する航空事故が発生しました。この事故により、乗員乗客28名全員が犠牲となりました。

事故を起こした251便は、エリゾヴォ空港からパラナ空港へ向かう予定でした。使用機材はアントノフ An-26B-100型機で、着陸進入中に墜落しました。

事故機の背景

事故機のAn-26B-100（機体記号RA-26085）は、1982年に製造されました。元々は軍用輸送機として製造されましたが、2012年10月に民間の旅客機に改修されました。エンジンはイーウチェンコ AI-24を搭載していました。過去にはペルミトランスアヴィアやエア・マリ・インターナショナルなどで運用され、国際連合にリースされたこともありました。

コックピットには4人の乗員が搭乗していました。機長は35歳で、3,300時間以上の飛行経験があり、2013年からペトロパブロフスク・カムチャツキー航空に勤務していました。副操縦士は28歳で、1,253時間の飛行経験がありました。航空機関士は65歳で、9,300時間の飛行経験を持っていました。ナビゲーターは49歳で、2,900時間の飛行経験がありました。

また、2012年にも同じパラナ空港へ進入していた同型機が墜落し、10人が死亡する事故が発生していました。

事故の経緯

251便は、現地時間12時57分にエリゾヴォ空港を離陸し、15時05分にパラナ空港に到着する予定でした。14時09分、機長はチギリスキー地区の管制官と交信し、パラナの気象条件を尋ねました。気象情報を得た機長は最終進入を開始しました。最後の交信は14時50分に行われました。

交信が途絶えたとき、251便は空港から約10km離れた地点を飛行していました。管制官は着陸復航の報告はなかったと証言しています。事故当時、空港付近の天候は曇りでした。251便は標高263mの急な崖に衝突しました。衝突地点は、最低降下高度よりも低い場所で、進入経路を逸脱していました。衝突により、機体は完全に破壊されました。

事故後の捜索活動

事故当日、ロシア非常事態省のMi-8ヘリコプターが墜落現場を確認しました。非常用位置指示無線標識装置からの微弱な信号が受信され、機体の残骸は21時頃に発見されました。残骸は広範囲に散乱しており、胴体部は丘の上に、その他の残骸は海岸に落下していました。7月7日までに19人の遺体が回収されましたが、墜落現場の地形が険しいため、捜索救助活動は困難を極めました。高波のため、夜間の救助活動は中止されました。パラナでは3日間の追悼期間が設けられ、アメリカ、ギリシャ、トルコ、セルビア、パキスタンなど多くの国が哀悼の意を表しました。

事故調査

事故調査は、ロシアの国家間航空委員会が担当しました。ロシア連邦捜査委員会は、事故原因として悪天候、機械的故障、パイロットエラーの3つを挙げました。7月9日、フライトデータレコーダー（FDR）が発見され、モスクワで解析されました。一方、コックピットボイスレコーダーも回収されましたが、損傷が激しくデータの取り出しはできませんでした。

ロシア連邦航空局は、FDRの分析結果の一部を公表しました。機体は高度2,600フィート（約790m）で無指向性無線標識（NDB）を通過し、滑走路29への旋回を行うため、手順に従ってアウトバウンドコースに入りました。管制官によると、パイロットは手順に記載された方位289度ではなく、340度に向かって飛行し、高度2,000フィート（約610m）まで降下していました。251便はベースターンと最終旋回を行っていましたが、フラップや着陸装置は展開されていませんでした。空港から12km地点で、機体は空港に向かって方位140度に旋回しました。衝突の約1分前に行われた最後の交信で、管制官はパイロットに空港まで9kmで方位320度で飛行していることを伝えていました。ロシア連邦航空局は、2012年に発生した墜落事故で講じられた推奨事項の実施状況について評価を行うよう勧告しました。

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