ペルシア絨毯

ペルシア絨毯の魅力

ペルシア絨毯は、イランで生産され続ける伝統的な絨毯であり、その歴史は紀元前の古代ペルシアに遡ります。この絨毯は、イラン文化の象徴ともいえる美術工芸品であり、床に敷く敷物や壁飾り、テーブルクロスとしても重宝されています。

分類と素材

ペルシア絨毯は、おおまかに分けて三つのタイプがあります。一つは「カーリ」（サイズが6×4フィートを超えるもの）、もう一つは「カーリシュ」（サイズが6×4フィート以下のもの）、最後は「ゲリーム」と呼ばれる遊牧民の絨毯です。ゲリームには、『ジル』と呼ばれる粗織りのものも含まれます。

主な素材には羊毛が使用されますが、綿も一般的に用いられます。羊毛の種類には、コルクウールやキャメルウールなどがあり、環境に適した素材が選ばれています。逆に絹は高価ですが、磨耗に弱く価値が下がりやすいことから、主に装飾用途で使われます。

デザインの多様性

ペルシア絨毯のデザインは、多様さに富んでいます。特に16世紀から17世紀には、地方ごとの特色が反映された多くの模様が見られます。一般的に見られるモチーフには、唐草文様、アラベスク文様、円形文様などがあります。人物が描かれたデザインは国内でよく見られますが、輸出用には控えめです。

絨毯製作においては、職人の記憶と経験が重点されており、特別な下絵を用いずに制作されることが多いですが、 複雑な文様では、下絵を使ってトレースすることもあります。現代ではコンピュータを用いることも一般的となりました。

歴史の流れ

ペルシア絨毯の歴史は非常に古く、現存する最古の手織り絨毯は2500年前のものとされています。古代中国からの記録によれば、224年から651年にかけてのサーサーン朝時代に様々な変化があったものの、生産は続きました。モンゴル帝国の侵攻後も、イルハン朝やティムール朝の下でその技術は復興し、発展を続けました。

ゾロアスター教時代に発見されたパジリク絨毯は、極めて重要な文化史的価値を持ち、5世紀に制作されたものとされています。キュロス2世の時代には、豪華な絨毯が王宮の装飾に使われていました。

イスラム教時代と現代

8世紀からはアーザルバーイジャーンやホラーサーンなどの地域がペルシア絨毯の生産拠点となり、需要が増加しました。セルジューク朝やイルハン朝の時代にも生産は活発で、サファヴィー朝の『アルダビール絨毯』などが有名です。

今日、イランは手織りのペルシア絨毯の最大の生産国であり、世界の約30%を占めています。ペルシア絨毯は、イランの主要な輸出品であり、国内で120万人以上がこの業界に従事しています。

しかし、近年は競合他国による安価な模倣品の流通が問題視されています。それでも、ペルシア絨毯の魅力は永遠であり、そのデザインや品質は高く評価され続けています。

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