ペルセウス座銀河団

ペルセウス座銀河団は、ペルセウス座の方向に位置する、地球から約2億2200万光年離れた場所にある大規模な銀河団です。この銀河団は、約190個の銀河から構成されており、その中心には特に明るい銀河であるNGC 1275が存在します。銀河団全体は、赤方偏移の値が0.0179であり、地球から約5366km/sの速度で遠ざかっています。見かけの直径は863分角で、B等級での明るさは12.50等級です。

音波

ペルセウス座銀河団の中心部は、過去10億年にわたって約3000万度の高温ガスに包まれています。この銀河団は、X線放射が最も強い銀河団の一つとしても知られています。初めてのX線観測は1970年3月1日にエアロビーによって行われ、NGC 1275の方向から放射される約4×10^38Wの強度であることが確認されました。このため、ウフル、スウィフト、MAXIなどの様々なX線観測衛星や装置が、この銀河団を独自に観測し、カタログに掲載しています。

2003年9月1日、NASAはチャンドラX線観測衛星による観測結果を発表しました。この観測では、ペルセウス座銀河団の中心部から広がる波状構造が発見されました。これはガスの濃淡として観測され、約1200km/sで移動し、波の間隔は約3万6000光年と測定されました。この波状構造を音波に変換すると、ピアノの中央のドよりも57オクターブと長2度低いシ♭（国際式では「B♭-54」）に相当します。この音波の周波数は約1.617×10^-15Hzであり、これは1961万年に1回振動する周期に相当します。人間の可聴範囲である20Hzよりもはるかに低く、地上における音速に換算すると、その波長は約22.2光年にも達します。この音波は、現在知られている宇宙で最も低い音であり、音量は170dBにも達します。

この音波は、ペルセウス座銀河団の中心にあるブラックホールの周辺で発生する爆発的な現象によって生じると考えられています。音波がガスに吸収されることで、長期間にわたってガスが高温に保たれていると考えられており、以前は謎であったガスの高温状態の原因を説明する有力な仮説となっています。また、X線画像で黒く見える領域は、高エネルギー粒子や磁場が存在しない領域です。これらの領域は、ブラックホールの活発な活動によってガスが薄くなった場所と考えられ、その直径は約5万光年にも及びます。ブラックホールの活動が活発なのは、周辺のガスを吸い込んでいるからであり、この吸い込まれるガスの中には、小さな銀河が含まれている可能性もあります。中心部にある黒い点は、そうした吸い込まれる運命にある銀河の一部である可能性も指摘されています。

ギャラリー

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脚注

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関連項目

NGC 1275
周波数の比較

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