ペルーの鉄道

ペルーの鉄道：アンデス山脈を駆け抜ける鉄路

ペルー共和国の鉄道は、南米大陸において重要な役割を果たしてきました。1851年、首都リマと港湾都市カヤオを結ぶ鉄道が開通、南米初の鉄道となりました。その後、アンデス山脈を越える路線が開業するなど、鉄道網は拡大を続けました。

歴史

ペルーの鉄道の歴史は、19世紀半ばに始まります。リマとカヤオを結ぶ路線の開通は、ペルーの経済発展に大きく貢献しました。特に1894年に開通したペルー中央鉄道は、アンデス山脈という自然の障壁を克服し、内陸部との交通を飛躍的に向上させました。この路線は、標高4000メートルを超える高地を走ることで知られています。

20世紀には、ペルー国鉄(Empresa Nacional de Ferrocarriles SA, ENAFER)が主要路線の運営を担っていました。1990年代までは黒字経営でしたが、その後経営状況は悪化。1999年には、路線の所有は国鉄のまま、運行は民営化されました。

路線網

ペルーの鉄道は、大きく分けてペルー中央鉄道、ペルー南部鉄道、ペルー南東鉄道などに分類されます。

ペルー中央鉄道

カヤオからラ・オロヤ、ワンカーヨへと続くこの路線は、アンデス山脈を横断する壮大な路線として知られています。かつては旅客列車も運行されていましたが、現在は一部区間で観光シーズンに限定して運行されています。最高地点は海抜4781メートルに達し、青蔵鉄道が開通するまでは世界最高地点の鉄道でした。

ペルー南部鉄道

クスコ、プーノ、アレキパなどを結ぶこの路線は、観光客に人気の高いルートです。クスコ～プーノ間では現在も定期旅客列車が運行されていますが、アレキパ～フリアカ間は旅客運行が休止されています。

ペルー南東鉄道

クスコからマチュ・ピチュ（アグアスカリエンテス）を結ぶこの路線は、世界遺産マチュ・ピチュへのアクセスに欠かせない重要な交通手段です。オリャンタイタンボからマチュ・ピチュまでは、道路がないため鉄道が唯一の交通手段となっています。

その他にも、いくつかの路線が存在しますが、多くは貨物輸送が中心となっています。

運行状況

ペルーの旅客列車の運行は、近年縮小傾向にあります。かつては主要路線で定期旅客列車が運行されていましたが、現在定期運行されているのは、クスコ～プーノ間、クスコ～マチュ・ピチュ間、ワンカーヨ～Huancavelica間、タクナ～アリカ間など、一部路線に限られています。これらの路線は、ペルー・レイルやENAFERなどの事業者によって運営されています。

クスコ～プーノ間の運行頻度は、季節によって変動します。また、運行時刻表通りの運行は難しく、大幅な遅延が日常茶飯事です。

マチュ・ピチュへのアクセスは、鉄道が非常に重要な役割を担っています。クスコ～マチュ・ピチュ間は、多くの観光客が利用しており、1日数往復の列車が運行されています。

国際接続

ペルーの鉄道は、ボリビアとチリと接続しています。ボリビアとの接続は、チチカカ湖を鉄道連絡船で渡ることで実現しています。チリとは、タクナ～アリカ間で国際列車が運行されています。エクアドル、コロンビア、ブラジルとは、鉄道接続がありません。

世界最高地点の鉄道

ペルー中央鉄道は、かつて世界最高地点の鉄道として知られていました。標高4818メートルに達する路線もありましたが、これらの路線は現在、定期旅客列車の運行はありません。現在定期旅客列車が走る最高地点は、クスコ～フリアカ間のラ・ラヤで、標高4319メートルです。

まとめ

ペルーの鉄道は、歴史と自然が織りなす壮大な旅路を提供しています。アンデス山脈の雄大な景色を眺めながら、ペルーの豊かな文化に触れることができるでしょう。ただし、運行状況には注意が必要であり、時刻表通りの運行を期待することはできません。事前に運行状況を確認し、余裕を持った旅程を立てることが重要です。将来的には、鉄道網の更なる整備や観光路線の開発が期待されます。

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