ペンスリット

ペンスリット (Penthrite) の概要

ペンスリット、またの名を四硝酸ペンタエリスリトール（略称：PETN）は、高性能な爆薬の一種です。この物質は、白色の結晶性粉末であり、化学式は C(CH₂ONO₂)₄ です。ペンスリットは非常に強力な爆発威力を有し、熱に対して鈍感で、自然分解もしにくいという特性を持っています。このため、従来の爆薬と比べて、一部の用途では優れた性能を発揮します。特に他の爆薬との混合物として用いることが多く、単独使用は限られています。

使用法と種類

ペンスリットは、トリニトロトルエン（TNT）との混合により、ペントライトとして知られる成型炸薬の一部として使われます。ペンスリット単独を利用することはあまり行われず、主に導爆線などの特定な状況に限られます。あわせて、ペンスリットは可塑剤と混ぜることで、軍事やテロ活動に使用されるセムテックスなどのプラスチック爆弾として生産されます。

この爆薬は、さまざまな硝酸エステルと同様に、血管を拡張させる作用があり、狭心症などの循環器疾患の治療に使用されることもあります。

性質と爆発力

ペンスリットは無色の斜方晶系の非吸湿性結晶で構成されており、その爆発力は非常に高いです。TNT （トリニトロトルエン）を基準とした場合、ペンスリットはRE係数1.66を持ち、TNT以上の爆発力を示します。

歴史的な背景

ペンスリットは1894年に、ドイツのケルンにある爆発物製造業者によって初めて製造され、特許も取得されました。1912年には、改良された製造方法が登場し、ドイツ政府により特許が取得されました。第一次世界大戦や第二次世界大戦においても、ドイツ軍によって広く使用されることとなりました。

テロ事例

ペンスリットが暴力行為に使用される場面も目立ちます。1980年にはパリのシナゴーグで爆破事件に使用されたほか、1983年にはドイツの左翼テロリストによる事件で、フランス文化センターに攻撃が行われ、多くの死傷者を出しました。また、1999年にはトランス・アラスカ・パイプラインを狙った計画が発覚し、犯人が逮捕されました。その他にも、アルカイーダによる航空機の爆破の試みなど、現代においてもペンスリットは悪用されるケースが存在します。

製造方法

ペンスリットの製造には、原料のペンタエリトリトールを使用します。高純度のもの（99.5%以上）を選び、さまざまな硝化方法でPETNを合成します。このプロセスにはいくつかの方法がありますが、工業的には主に硝酸のみを使用して製造されています。この手法は操作が簡単で、コストを抑えることが可能です。

製造後、除酸と水洗いを行い、最終的に水分を含んだ状態での輸送や保管が求められます。

人体への影響

ペンスリットは血管拡張剤としても使用され、心血管に関連する病態の治療に役立つことがあります。このように、ペンスリットは爆薬でありながら、医療分野にも一部利用されていることを理解することが重要です。

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