導爆線

導爆線（Detonating cord / Detcord）

導爆線は、爆轟を伝達するために使用されるロープ状の火工品です。導火線とは異なり、内部の芯薬に爆薬が使用されており、雷管などで起爆することで、その爆轟を瞬時に伝達する特性を持ちます。

特徴

高速伝達: 導爆線は、その長さに左右されず、端から端まで爆轟を確実に伝えます。爆速は一般的に5,500m/sec～7,000m/secと非常に高速です。
起爆性: 6号雷管で容易に起爆でき、また6号雷管で起爆可能な爆薬であれば、導爆線で起爆することができます。
構造: 現在主流の導爆線は、ペンスリットを芯薬とし、紙と糸で被覆、アスファルトで防水処理を施し、さらにビニールで覆われた構造をしています。これにより、外部環境からの影響を受けにくく、安定した性能を発揮します。
威力: 芯薬の量は10g/mであり、約10センチ間隔で6号雷管を並べた威力に匹敵します。このため、大量の爆薬を同時に起爆させる必要がある場合や、水中での爆破作業など、雷管の代替として利用されます。
安全性: 比較的安全性が高く、火炎に晒されても燃焼するだけで爆轟に至ることは稀であり、打撃や摩擦、雷や静電気による発火の危険性も低いとされています。
識別性: 導爆線は通常、赤色または黄色に黒い線が入った色で識別され、導火線との区別が容易になっています。

用途

導爆線はその特性から、様々な分野で応用されています。

爆薬の起爆: 大量の爆薬を同時に、かつ確実に起爆させる必要がある場合に用いられます。
構造物の切断: 高速かつ強力な爆轟波を利用し、構造物を切断することができます。特に、分離ボルトと同様に、破壊解体作業において、ネジを外しただけでは解体できない構造材や外板などを切断する際に有効です。厚さ3mm以下の鋼鉄やジュラルミン板であれば、確実に切断可能です。
軍事利用: 戦闘工兵が、閉鎖された扉の強制解錠、壁の部分的破壊、有刺鉄線の切断など、戦闘隊員の進路を切り開くために使用します。
圧力爆弾: 導爆線の周囲を水の入った袋で覆うことで、爆轟の圧力を一点に集中させ、より強力な破壊力を生み出す圧力爆弾として利用できます。この用途も、厚く強固な扉の強制開放などに用いられます。

その他

導爆線は、「プリマコード」という別名でも知られていますが、これはエンシング・ビックフォード社の登録商標です。日本国内では、日本カーリット社が輸入販売しています。

関連項目

プラスチック爆薬
en:Mine-clearing line charge - 地雷除去に使用する連結型除去爆弾発射装置（爆索）

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