ペータル2世 (ユーゴスラビア王)

ペータル2世・カラジョルジェヴィッチ：ユーゴスラビア最後の国王

ペータル2世・カラジョルジェヴィッチ（1923年9月6日 - 1970年11月3日）は、ユーゴスラビア王国の第2代にして最後の国王（在位：1934年 - 1945年）です。激動の時代に翻弄されたその生涯を辿ります。

生涯

幼少期と即位

カラジョルジェヴィッチ家の出身で、父はアレクサンダル1世、母はルーマニア王女マリヤ。イギリス王子アルバート（後のジョージ6世）夫妻が名付け親でした。王宮での教育の後、イギリスのサンドロイド・スクールへ留学。1934年、父王暗殺により11歳で即位しますが、幼少のため、父の従弟パヴレが摂政を務めました。

第二次世界大戦と亡命

ペータル2世はナチス・ドイツとの同盟に反対していましたが、摂政パヴレは1941年3月25日に日独伊三国同盟への参加を表明。これに対し、ペータル2世はイギリスの支援を受けクーデターを成功させ、親政を開始します。しかし、この動きに対しドイツはユーゴスラビアへ侵攻。首都ベオグラードは空爆を受け、ユーゴスラビアは分割占領され、傀儡国家クロアチア独立国が成立しました。

枢軸国の侵攻により、ペータル2世は政府首脳と共に亡命を余儀なくされ、ギリシャ、パレスチナ、エジプトを経てイギリスへ。ケンブリッジ大学で学び、イギリス空軍に加わりました。国内では、王党派のミハイロヴィッチ率いるチェトニックと、共産主義者のティトー率いるパルチザンという2つの抵抗組織が台頭。連合国軍は当初ミハイロヴィッチを支持しましたが、後にティトー支持へと転換しました。

廃位と晩年

1944年3月20日、ペータル2世はロンドンでギリシャ王女アレクサンドラと結婚。亡命中の1945年11月29日、ユーゴスラビア共産党政権は王制廃止を宣言しますが、ペータル2世は退位を認めませんでした。戦後はアメリカ合衆国へ移住し、長年健康問題を抱え、肝不全治療のための移植手術を受けましたが、1970年11月4日、ロサンゼルスの病院で47歳で死去しました。

没後

ペータル2世は当初、アメリカ・イリノイ州の聖サヴァ修道院教会に埋葬されました。ここはヨーロッパの君主がアメリカの土に眠る唯一の場所でした。2013年、遺体はセルビアへ帰還し、トポラ近郊オプレナツの聖ジョルジェ教会にあるカラジョルジェヴィチ家の霊廟に、妻アレクサンドラ王妃、母マリヤ王太后らと共に改葬されました。

息子のアレクサンダル王太子は、セルビア王位継承者として、父の遺志を継いでいます。

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