モノノケダンス

電気グルーヴ「モノノケダンス」

「モノノケダンス」は、2008年にリリースされた電気グルーヴの13枚目のシングルです。フジテレビ系アニメ『ノイタミナ』枠で放送された、水木しげる原作のテレビアニメ『墓場鬼太郎』のオープニング主題歌として使用されました。

概要

楽曲は、貸本漫画風のアニメーションとテクノサウンドが見事に融合し、その奇妙かつ斬新な取り合わせが視聴者から大きな反響を呼びました。前作「Cafe de 鬼（顔と科学）」のプロモーションビデオ制作時に『ゲゲゲの鬼太郎』の使用許諾を得ていたことが縁となり、水木側から主題歌の製作依頼が舞い込みました。

当初、メンバーのピエール瀧はエンディング主題歌の依頼と思い込み、アニメ本編の後に残る嫌な余韻を狙って曲作りを進めていたそうです。しかし、実際に使用されたのはオープニングテーマであり、その事実にファン以上に本人たちが驚いたというエピソードがあります。

トラックメイクでは、石野卓球が高校時代に初めて購入したシンセサイザー「ROLAND SH-2」が全面的にフィーチャーされています。楽曲には、シングルバージョン、テレビサイズバージョン、PVバージョン、アルバムバージョン、リミックスバージョンなど、様々なエディットが存在します。

カップリング曲は、アニメ本編でピエール瀧が演じるトランプ重井が歌う劇中歌「有楽町で溶けましょう」。曲名は原作に登場する「有楽町で笑いましょう」のもじりで、フランク永井の「有楽町で逢いましょう」のパロディとなっています。作曲は石野卓球、作詞はピエール瀧が担当し、編曲は中村哲が手掛け、ムード歌謡の王道とも言えるアレンジが施されています。また、石野卓球がリミックスしたバージョンも収録されており、瀧勝『人生』を彷彿とさせる構成となっています。

『墓場鬼太郎』オープニング

オープニングアニメーションは、原作漫画版『墓場鬼太郎』のコマをコラージュして制作されており、楽曲のダンスサウンドとシンクロした映像が展開されます。音楽に合わせて場面転換するのはもちろんのこと、クレジットタイトル枠の役割を持つ吹き出しも大小に振幅し、鬼太郎をはじめとするキャラクターたちが微かに合いの手を入れているのが特徴です。

ディスクジャケット

シングルのジャケットは、水木しげるによる描き下ろしイラストです。鬼太郎、目玉おやじ、ねずみ男、猫娘のいる夜の墓場に、ピエール瀧と石野卓球が迷い込み、慌てふためいている様子が描かれています。鬼太郎たちは『ゲゲゲの鬼太郎』とは異なり、極めて性悪なキャラクターとして描かれており、鬼太郎は喫煙し、ねずみ男は石野卓球を乱暴に扱っています。初回盤には、ジャケットとは別カットの描き下ろしステッカーが付属していました。

プロモーション・ビデオ

プロモーション・ビデオは、水木しげるの妖怪ではなく、つのだじろうの怪奇漫画に出てくるようなキャラクターが登場し、1965年のアメリカ映画『死霊の盆踊り』のパロディ要素も盛り込まれています。チープな書き割りとミニチュアセットで表現された映像は、「Cafe de 鬼（顔と科学）」のPVを彷彿とさせる内容で、高い評価を得ました。

内容は、若い男女が怪しい森に迷い込み、魑魅魍魎が跋扈する百鬼夜行に巻き込まれるというもの。石野卓球にそっくりな化け猫がDJとしてレイヴパーティーを盛り上げ、シンクロナイズドスイミングを披露するゾンビ、クリムゾン・キングの宮殿のジャケットのような釣瓶落とし、小島よしおモドキなど、様々なパロディネタが盛り込まれています。最後は、割り箸にセロハンテープで厚紙を貼り付けた書き割りの裏側を晒すというメタフィクション的なオチで締めくくられます。

制作秘話

制作は天久聖一が担当し、90日の予定が30日で完成したとのこと。石野卓球との食事中に冗談半分で制作を依頼されたのがきっかけで、ほとんど手探りで進めることになったそうです。その結果、「Cafe de 鬼（顔と科学）」のアニメーションに匹敵するハードな作業になったそうです。

「モノノケダンス」は、電気グルーヴの音楽性と水木しげるの世界観が融合した、唯一無二の作品と言えるでしょう。

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