ホイエルスヴェルダの戦い

ホイエルスヴェルダの戦い：プロイセン軍の勝利とフリードリヒ大王の復帰

ホイエルスヴェルダの戦いは、七年戦争における比較的小規模な戦闘でしたが、プロイセン軍にとっては重要な意味を持つ戦いとなりました。1759年9月、クネルスドルフの戦いで大敗を喫したプロイセン軍にとって、この勝利は大きな慰めとなり、フリードリヒ大王が再び指揮を執る決意をするきっかけとなりました。

戦いの背景

1759年9月、プロイセン軍のフリードリヒ大王とハインリヒ王子、オーストリア軍のレオポルト・フォン・ダウン、ロシア軍のピョートル・サルティコフは、シュレージエンを巡って互いに牽制し合っていました。プロイセン軍はオーデル川の渡河に成功し、ロシア軍からグウォグフとブレスラウを守りましたが、フリードリヒは攻勢に出ることができずにいました。その間、ダウンはクネルスドルフでの勝利を活かそうとしていましたが、ザクセンにいたオーストリア軍がプロイセン軍に敗れるという知らせを受けます。

ダウンは軍事的な優位を失うことを恐れ、ゲルリッツに向けて軍を前進させ、ハインリヒ王子の陣地近くの高台に陣取り、翌朝に攻撃することを決定しました。

ハインリヒ王子の巧妙な撤退

しかし、ハインリヒ王子は既に撤退を決意していました。9月22日の深夜、ハインリヒ軍は密かに野営地を離れました。テントや焚き火を残し、撤退が完了するまで騒音を立てて敵を欺きました。20マイルを3時間で急行したハインリヒ軍がローテンブルクで休息している間、ダウン軍はもぬけの殻となったプロイセン軍の野営地に突入しました。

ダウンの偵察騎兵は、ハインリヒ軍がグローガウへ向かっていると報告しましたが、ダウンはこれを疑い、バウツェンまで後退しました。しかし、ハインリヒ軍はローテンブルクから西へ18マイルのクリッテン村へ進み、3時間の休息後、ホイエルスヴェルダへ強行軍を続け、ヴェーラ率いるオーストリア軍3,000名を捕捉しました。

ヴェーラの油断

ヴェーラはドレスデン攻囲で名を挙げた将軍であり、ホイエルスヴェルダはザクセンとシュレージエンのプロイセン軍の合流を防ぐための防衛線の一部でした。しかし、ダウンは数日前にヴェーラに手紙を送り、フリードリヒ軍がロシア軍と対峙しているため、ハインリヒ軍との合流の可能性は低いと伝えていました。

戦闘の経過

スイス人指揮官レントゥルス率いるプロイセン軍の前衛部隊が森から現れ、オーストリア軍を急襲しました。ヴェーラはクロアチア兵を展開し、大砲を配置しましたが、プロイセン軍の正確な砲撃によって隊列は瞬く間に崩壊しました。短い戦闘の後、ヴェーラを含むほぼ全ての生存者が捕虜となりました。

戦いの影響

ホイエルスヴェルダの勝利は、プロイセン軍にとって大きな転換点となりました。クネルスドルフでの敗北から立ち直り、フリードリヒ大王が再び指揮を執る決意をするきっかけとなりました。一方、ダウンはザクセンへ軍を向ける必要に迫られました。また、ロシア軍はプロイセンとの協定が破られたことに憤慨し、サルティコフは軍を率いて帰国してしまいました。

ホイエルスヴェルダの戦いは、七年戦争におけるプロイセン軍の命運を左右する、重要な戦いだったと言えるでしょう。

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