ホイッグ党 (イギリス)

ホイッグ党の歴史と影響

ホイッグ党（Whig Party）は、かつてイギリスで存在した影響力のある政党であり、現代の自由党および自由民主党の前身とされています。この党の起源は、1678年から1681年のイングランドの王位継承問題にさかのぼります。当時、カトリック信者であるチャールズ2世の弟、ヨーク公ジェームズ（後のジェームズ2世）を次期国王にすることに強い反対があった人々を指して「Whiggamore」と呼び始めたことがホイッグ党の始まりです。この名称はスコットランド語で「馬を乗り回す」という意味を持つとされています。

王位継承の激しい対立

1660年、清教徒革命の結果として王政が復活し、チャールズ2世が即位しましたが、彼には嫡子がいませんでした。そのため、次期王として弟のジェームズが有力視されたものの、イングランド国教会がプロテスタントであることから、カトリックの王に対する強い拒否感が存在しました。このため、ホイッグ党は王位排除法案を推進しようとしましたが、チャールズ2世とトーリー派の反対によって実現しませんでした。

1681年には、チャールズ2世が議会を解散し、ホイッグ党の地盤を削ぐ行動を取り、これにより党は衰退しました。モンマス公は亡命し、ジェームズの即位が認められた後、1690年代にホイッグ党は名誉革命を経験します。これは、オランダからメアリーとウィリアム3世を招き、ジェームズ2世を排除することから始まりました。この成功により、ホイッグ党は新政権に参加します。

政権の変遷と議院内閣制の成立

名誉革命後の政治では、ホイッグ党が優位に立ちましたが、1702年にウィリアム3世が亡くなると、トーリー党が政権を握りました。1710年にはトーリー党が議会の過半数を占め、ホイッグ党は野党に転落しますが、1714年に今度はホイッグ党が再び政権を握ることになります。新たに即位したジョージ1世により、ホイッグ党は信任を受け、政治の主導権を握ることとなります。

この時代、ホイッグ党は1715年の総選挙で勝利し、ジャコバイト蜂起による政治的対抗を処理し、党の優位を確立しました。彼らは政府の中枢を占め、首相にウォルポールを迎え、近代的な議会政治を展開しました。

自由党への移行とその後の影響

18世紀後半に入ると、ホイッグ党は自由主義の立場を強化し、産業革命とともに社会的変革に対応します。1830年代から1860年代には、工場労働者の増加とチャーティスト運動が影響を及ぼし、議会政治が新たな局面を迎えました。この時期、ホイッグ党はその名を自由党と改め、より広い支持層を獲得する動きへと変わります。

また、ホイッグ党は自由主義政策を推進し、資本主義や自由貿易を重視しました。この時期の彼らの活動は、現代のイギリス政治に大きな影響を与えました。ホイッグ党は単に政党としての役割を果たすのみならず、イギリスにおける自由主義の象徴としても広く認知されるようになりました。彼らの政策や思想は、以降の社会運動や政策決定に強く影響を及ぼすこととなります。

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