ホウチャクソウ

ホウチャクソウ（宝鐸草）

ホウチャクソウ（学名: Disporum sessile var. sessile または Disporum sessile）は、ユリ科チゴユリ属に分類される多年草です。東アジア一帯に広く分布し、日本では北海道から九州まで、各地の山地や丘陵の林に自生します。

特徴

形態: 地下茎を伸ばして繁殖する多年草で、草丈は30～60cmほどになります。葉は互生し、細長い楕円形をしています。茎は上部で枝分かれします。
花: 花期は5月から6月中旬頃。枝分かれした茎の先に、長さ約2cmの筒状の花が1～3個、下向きに咲きます。花の色は、白から緑色のグラデーションが美しく、清楚な印象を与えます。花被片は6枚ですが、完全に開かないため筒状に見えます。
果実: 花後には直径1cmほどの黒紫色の液果をつけます。
交雑: チゴユリと自然交配し、「ホウチャクチゴユリ」と呼ばれる雑種を形成することがあります。

毒性

ホウチャクソウは全草に毒性があります。特に若芽にはアルカロイドが含まれるとされます。山菜として利用されるアマドコロやナルコユリと間違えやすいですが、ホウチャクソウは独特の臭気があるので区別できます。誤って摂取すると、嘔吐や下痢などの症状を引き起こす可能性があります。

名前について

ホウチャクソウの名前は、花の形状が寺院の軒先に吊り下げられた宝鐸（風鐸）に似ていることに由来します。宝鐸とは、青銅製のベルのようなもので、風が吹くと音を出す魔除けの意味合いを持つ装飾品です。

類似種との識別

アマドコロ、ナルコユリ: 若芽の形状が似ていますが、ホウチャクソウには独特の臭気があります。また、アマドコロやナルコユリの葉は互生ですが、ホウチャクソウの葉は互生です。
チゴユリ: 花の形が異なります。ホウチャクソウの花は筒状ですが、チゴユリの花は花被片が大きく開きます。

注意点

ホウチャクソウは有毒植物であり、食用には適しません。山菜採りの際には、十分に注意し、判別が難しい場合は採取を避けるようにしましょう。

参考文献

* 金田初代、金田洋一郎（写真）『ひと目でわかる! おいしい「山菜・野草」の見分け方・食べ方』PHP研究所、2010年9月24日、187頁。ISBN 978-4-569-79145-6。

もう一度検索