ホウ素の同位体

ホウ素の同位体

ホウ素は、地球上に自然に存在する化学元素の一つで、主に二つの同位体、ホウ素10とホウ素11に分類されます。この中でもホウ素11は、源として自然界の約80%を占めています。ホウ素の同位体は、質量数6から21の範囲で14種類が確認されており、これらは全て放射性同位体です。

同位体の半減期

これらの放射性同位体は、非常に短い半減期を持っており、特にホウ素8の半減期は770ミリ秒と最も長く、続いてホウ素12の半減期は20.2ミリ秒です。そのほかの同位体は17.35ミリ秒未満の半減期を持ち、なかでも最も不安定なホウ素7は150ヨクト秒という極めて短い半減期を経験します。このことから、ホウ素の同位体は非常に不安定であることがわかります。実際、質量数10以下の同位体は主としてヘリウムに崩壊しますが、質量数11以上になると、主に炭素に変化します。

標準原子量とその測定

ホウ素の標準原子量は、おおよそ10.811(7) uとされています。この値は、全て純粋な実験値に基づいているわけではなく、一部は体系的な傾向から推定された値も含まれています。核スピンに関するデータが明確に示されていないため、それらは（）内で補足的に示されています。また、同位体の存在比や質量数は、変化によって制限されるため、天然の存在比は地球上のどの地理的な場所でも通常同じであるとされています。

同位体の存在比と誤差

文中で示す数値の末尾にかっこ書きで表記されたものは、該当する値の誤差を示しています。この誤差は、IUPACによって発表された同位体構成および標準原子質量に関する情報に基づくものであり、それ以外の値は標準偏差を参照しています。したがって、これらのデータは科学的な信頼性が高いといえます。

ホウ素の応用

ホウ素10は、特に脳腫瘍の治療において注目されています。中性子捕捉療法という新しい治療法の実験段階で使用されることがあります。これは、ホウ素10が中性子を捕捉する特性に基づいており、特定の腫瘍細胞をターゲットにして治療効果を発揮することが期待されています。

参考文献

研究されたホウ素の同位体についてのさらなる詳細は、次の文献を参照しています。

• - G. Audi et al. (2003). Ame2003 Atomic Mass Evaluation in Nuclear Physics A729.
• - IUPAC Technical Report (2003). Atomic weights of the elements. Review 2000.
• - Audi, Bersillon, Blachot, Wapstra (2003). The Nubase2003 evaluation of nuclear and decay properties, Nuc. Phys. A 729.
• - National Nuclear Data Centerが提供するNuDat 2.1データベースの情報（2005年9月取得）。
• - CRC Handbook of Chemistry and Physics (2005).

もう一度検索