ホエン・ウィル・アイ・ビー・ラヴド

「ホエン・ウィル・アイ・ビー・ラヴド」（When Will I Be Loved）は、アメリカの著名な音楽デュオ、エヴァリー・ブラザーズが1960年に世に送り出した楽曲です。発表から半世紀以上を経てもなお、多くのアーティストによってカバーされ続けているこの曲は、特に1970年代にリンダ・ロンシュタットが発表したカバーバージョンが世界的に大きな成功を収めたことでも知られています。

エヴァリー・ブラザーズによるオリジナル版

本楽曲が生まれた1960年は、エヴァリー・ブラザーズにとってキャリアにおける重要な転換期でした。彼らはそれまで所属していたケイデンス・レコードを離れ、ワーナー・ブラザース・レコードと新たに契約を結びました。ワーナーからの最初のシングルとして発表された「キャシーズ・クラウン」は、ビルボードHot 100チャートで堂々の1位を獲得し、移籍後最初の成功を飾りました。

「ホエン・ウィル・アイ・ビー・ラヴド」は、この「キャシーズ・クラウン」に続いてシングルとしてリリースされましたが、レコードレーベルは移籍前のケイデンス・レコードからとなりました。楽曲の詞と曲は、デュオの弟であるフィル・エヴァリーが担当しています。録音は、カントリーミュージックの中心地として名高いテネシー州ナッシュヴィルにあるRCAスタジオBで行われました。

このオリジナル版は、1960年7月23日付のビルボードHot 100チャートで最高8位にランクインするという成功を収めました。また、イギリスの全英シングルチャートでも最高4位に到達するなど、発表当初から国内外で高い評価を得た楽曲と言えます。

リンダ・ロンシュタットによるカバー版

エヴァリー・ブラザーズ版の発表から約15年後、アメリカのシンガーソングライター、リンダ・ロンシュタットが本楽曲をカバーし、新たな世代のリスナーに届けました。彼女のバージョンは、1974年11月にリリースされた自身の代表的なアルバム『悪いあなた（Heart Like a Wheel）』に収録されています。

このアルバムに収録された「ホエン・ウィル・アイ・ビー・ラヴド」は、その人気を受けて翌1975年 3月25日にシングルカットされました。シングルのB面には、初期ロックンロールのスター、バディ・ホリーの楽曲「It Doesn't Matter Anymore」が収められました。ロンシュタット版のA面は日本国内では「いつになったら愛されるのかしら」、B面は「もうおしまい」という邦題が付けられました。

ロンシュタットによるカバーは、ビルボードの各チャートで目覚ましい成績を収めました。特にHot 100チャートでは、1975年6月21日から2週連続で最高2位を記録し、彼女のキャリアを代表するヒット曲の一つとなりました。さらに特筆すべきは、ビルボードのカントリーチャートで1位を獲得したことで、彼女のバージョンがカントリーミュージックファンからも広く受け入れられたことを示しています。また、イージーリスニング・チャートでも3位に入り、その幅広いアピール力を証明しました。権威あるキャッシュボックス誌のチャートでも首位に輝くなど、まさにジャンルを超えた大ヒットとなりました。

その他の著名なカバーアーティスト

「ホエン・ウィル・アイ・ビー・ラヴド」は、オリジナルとリンダ・ロンシュタット版の成功により、多くのアーティストにインスピレーションを与え、数々のカバーバージョンが生み出されています。

- ブリティッシュ・インヴェイジョンの代表格であるマンフレッド・マンは、1966年にシングルとしてリリースしました。
- フォークミュージック界の巨匠、ジョン・デンバーも、キャリアの初期にあたる1966年の自主制作アルバム『John Denver Sings』にこの曲を収録しています。
- 英国フォークロックバンド、ザ・バンチは、1972年のアルバム『Rock On』で、著名なシンガーであるサンディ・デニーとリンダ・トンプソンをフィーチャーしてカバーしました。
- カントリー界のスター、タニヤ・タッカーは、1975年のアルバム『Tanya Tucker』で、なんとオリジナルの作詞作曲者であるフィル・エヴァリー本人と共にデュエットバージョンを披露しています。
- その他、ボビー・ヴィントン (1975年)、ウェイン・ニュートン (1976年)、ローズマリー・クルーニー (1976年) など、様々なジャンルのベテランアーティストがこの曲を取り上げています。
- イギリスのロックミュージシャン、ニック・ロウとデイヴ・エドモンズによるユニット、ロックパイルは、1980年のアルバム『Seconds of Pleasure』のボーナスEPに彼らのバージョンを収録しています。
- 比較的近年では、ブルースシンガーのデボラ・コールマン (2004年) や、ロックレジェンドのジョン・フォガティがブルース・スプリングスティーンとの共演で (2009年) カバーしています。

このように、「ホエン・ウィル・アイ・ビー・ラヴド」は、エヴァリー・ブラザーズによるオリジナルが持つ普遍的な魅力と、リンダ・ロンシュタット版の成功によって、時代やジャンルを超えて愛され続ける楽曲であり、多くのミュージシャンに影響を与え続けているスタンダードナンバーと言えるでしょう。

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