ホケノ山古墳

ホケノ山古墳：邪馬台国と繋がる歴史の謎

奈良県桜井市箸中にあるホケノ山古墳は、全長約80メートルに及ぶ大型の前方後円墳です。その独特の形状は「帆立貝形」とも呼ばれ、弥生時代後期の高度な築造技術を物語っています。国の史跡「纒向古墳群」に含まれ、出土した数々の遺物は国の重要文化財に指定されています。この古墳は、日本古代史、特に邪馬台国論争において重要な位置を占めており、その築造年代や被葬者をめぐって様々な議論が展開されています。

位置と規模

ホケノ山古墳は、三輪山の西山麓、箸墓古墳の東側に位置します。後円部径は約55メートル、前方部長は約25メートル、高さは後円部で約8.5メートル、前方部で約3.5メートルに達します。3段築成された後円部と短い前方部は、東南方向に向けて築かれています。周濠は西側が広く、約10.5～17メートルの幅を持ちます。

築造年代と被葬者

従来、ホケノ山古墳の築造年代は、出土する鉄器などの副葬品から4世紀と推定されてきました。しかし、桜井市纒向学研究センターは、邪馬台国の時代（3世紀中頃）に遡ると主張しています。奈良県立橿原考古学研究所の2008年の発掘調査報告書では、遺物から3世紀中頃を推定しつつも、木槨の木材の炭素年代測定結果が4世紀前半を含む幅があることを指摘しています。この年代測定結果や、石囲い木槨の存在が『魏志倭人伝』の記述と矛盾することから、邪馬台国畿内説に疑問を呈する意見もあります。

被葬者については、大神神社では豊鍬入姫命の墓とする説がありますが、確証はありません。

埋葬施設と出土遺物

墳頂部後円部の中央には、石囲い木槨と呼ばれる大規模な埋葬施設が存在します。大きな土壙の中に、長さ約7メートル、幅約2.7メートル、高さ約1.5メートルの石室状の施設があり、その内部にコウヤマキ製の刳抜式木棺が納められています。棺内は水銀朱で覆われていた可能性があります。前方部裾にも木棺を埋葬した施設があり、くびれ部には簡単な埋葬施設1基が確認されています。さらに、主体部西側には、6世紀末頃に造られたと推測される横穴式石室があり、組合式家形石棺が納められています。

出土遺物には、大型壺、中型壺、銅鏃約60本、鉄鏃約60本、素環頭大刀1口、鉄製刀剣類10口、加飾壺、画文帯同向式神獣鏡1面、そして鉄製農工具など、多岐にわたる品々が含まれています。これらの遺物は、当時の社会状況や技術レベルを知る上で貴重な資料となっています。

文化財指定

ホケノ山古墳出土品は、2024年8月27日に国の重要文化財に指定されました。画文帯神獣鏡2面、青銅製品、鉄製品、土師器など、多数の遺物が含まれます。それ以前には、2013年3月29日に奈良県指定有形文化財に指定されていました。

まとめ

ホケノ山古墳は、その規模、埋葬施設、そして出土遺物の多様さから、古代日本の社会構造や文化、そして邪馬台国との関連性を解き明かす上で極めて重要な遺跡です。今後の研究によって、さらに多くの謎が解き明かされることが期待されます。 継続的な調査と研究を通じて、ホケノ山古墳が持つ歴史的価値がより深く理解され、広く社会に発信されることが重要です。

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