ホソバヒナウスユキソウ

ホソバヒナウスユキソウ（細葉雛薄雪草、学名：Leontopodium fauriei var. angustifolium）は、キク科ウスユキソウ属に分類される高山植物です。基本種であるミヤマウスユキソウの変種として知られています。

特徴

ホソバヒナウスユキソウは、ミヤマウスユキソウと比較していくつかの特徴的な違いが見られます。最も顕著な違いは、葉の形状です。ミヤマウスユキソウの根出葉の幅が2-4mmであるのに対し、ホソバヒナウスユキソウの根出葉は1-1.5（2.5）mmと、より細長くなっています。この特徴が、和名「細葉」の由来となっています。

また、頭花の縁にある苞葉の幅も、ミヤマウスユキソウよりも狭いという特徴があります。苞葉は、花を保護する役割を持つ葉の変化したもので、その形状や大きさは植物の識別において重要な要素となります。

ハヤチネウスユキソウ、オオヒラウスユキソウとともに、ウスユキソウ属の中ではヨーロッパ原産のエーデルワイスに似た外見を持つと評されることがあります。白い苞葉が花を包むように広がる姿は、高山植物ならではの美しさを感じさせます。

分布と生育環境

ホソバヒナウスユキソウは、特定の地域に限定されて分布しています。具体的には、尾瀬の至仏山や、群馬県と新潟県の県境に位置する谷川岳などが主な生育地として知られています。これらの地域は蛇紋岩地帯であり、崩壊地や風衝草原といった厳しい環境に適応して生育しています。蛇紋岩地帯は、特殊な土壌組成を持つため、生育できる植物が限られています。ホソバヒナウスユキソウは、そのような環境で生き抜くための適応能力を持っていると考えられます。

保全状況評価

ホソバヒナウスユキソウは、生育地の限定性や環境の変化により、その個体数が減少傾向にあります。そのため、環境省のレッドリストにおいて、絶滅危惧II類 (VU)に指定されています。これは、現時点では絶滅の危機に瀕しているわけではないものの、近い将来に絶滅危惧種となる可能性が高いことを示しています。生育環境の保護や個体数の維持に向けた対策が求められています。

参考文献

佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本Ⅲ 合弁花類』（1981）平凡社
豊国秀夫編『山溪カラー名鑑 日本の高山植物』(1988)山と溪谷社
米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）

外部リンク

ホソバヒナウスユキソウ

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