ホッコクアカエビ

ホッコクアカエビ（北国赤海老）

ホッコクアカエビ（Pandalus eous）は、タラバエビ科に分類されるエビの一種で、主に北太平洋の深海に分布している重要な食用種です。別称にはアマエビやナンバンエビがあり、地域によって異なる呼び名が付けられています。

特徴

このエビの体長はおおよそ12cmで、名前からもわかるように全身がピンク色から赤橙色をしています。「ナンバンエビ」と呼ばれる理由は、その外観が赤く熟した唐辛子に似ているためです。体型は他のタラバエビ科のエビに比べて細長く、甲羅が柔らかい特徴があります。額角は細長く、頭胸甲の1.5倍以上の長さがあり、腹部には独特な形状の突起があります。これにより、腰が曲がっているように見えます。また、ホッコクアカエビは日本の海岸では島根県以北の日本海や宮城県沖以北の太平洋、オホーツク海やベーリング海、カナダ西岸に広く生息しています。

日本の北限は日本海となり、このエビは水深200-600mの深海砂泥底に生息し、生息環境として適した水温は0-8℃とされています。彼らの食性は肉食性で、小型の貝や甲殻類、多毛類を捕食します。さらに、彼らには天敵が多く、人間だけでなく、頭足類、タラやサメなどの肉食魚も注意すべき存在です。時にはエビヤドリムシに寄生され、頭胸甲が黒く膨れ上がることもあります。

繁殖

ホッコクアカエビの産卵期は春から夏にかけてであり、地域によってその時期は異なります。卵は約1mmの直径を持ち、一度に2000-3000個を産卵します。メスは受精卵を抱え、孵化まで約10か月間保護します。幼生は水深200-300mで放出され、その後はプランクトンとして浮遊生活を送ります。また、性転換を行い、4-6歳で雌に変わることがわかっています。漁獲圧が強い場合、性転換の時期が早まることがあるため注意が必要です。生涯に3回の産卵を行う個体も存在し、寿命は約11年とされています。

利用法

日本では、ホッコクアカエビは非常に人気がある高級食材とされています。特に北日本では、底引き網や籠漁などで重要な漁業対象となっており、冷凍品の輸入も行われています。その柔らかい甲羅と身は容易に離すことができ、また、甘みを感じることができるため、別名「アマエビ」とも呼ばれます。捕獲直後には甘さを感じにくいものの、時間が経つことで自己消化が進み、アミノ酸が生成されるため甘味が増します。これにより、通常は店頭に並んでいる時が食べごろとされています。

多様な料理に利用され、生食の刺身や寿司、塩辛、煎餅、天ぷらとしても親しまれています。小型のオスは煎餅、大型のメスは刺身や寿司のネタとして適しています。さらに、頭部には中腸腺（俗称「海老味噌」）があり、濃厚な旨味を楽しむことができます。

近縁種

ホッコクアカ[エビ]]には近縁の種も存在し、Pandalus borealisなどが含まれます。本種は北大西洋のバレンツ海や北海、グリーンランドからカナダ沖に分布し、日本へはアイスランド産の冷凍甘エビとして輸入されています。国際連合食糧農業機関]では、ホッコクアカ[[エビをPandalus borealis eousという亜種として分類しています。

ホッコクアカエビの特徴や生態、食材としての利点を知ることで、さらにその魅力を理解することができるでしょう。

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