ホッテントット・ドッグ

ホッテントット・ドッグは、南アフリカからローデシア地方を原産とする絶滅した犬種です。コーイ、リッジ・ドッグなどの別名も持ち、ローデシアン・リッジバックの祖先犬として知られています。

起源と歴史

ホッテントット・ドッグは、ホッテントット族（現在のコイコイ人）が使役していた土着の猟犬に、ヨーロッパからの入植者が持ち込んだ様々なヨーロッパ犬種が交雑して生まれたと考えられています。この交雑が繰り返される中で、独特の特徴を持つ犬種として確立していきました。

しかし、1950年代頃には純粋なホッテントット・ドッグは絶滅したとされています。最後の記録としては、1955年にブッシュマンのリッジバック・ドッグ2頭が狩猟場の管理人によって射殺されたというものがあります。この出来事が、ホッテントット・ドッグの終焉を象徴していると言えるでしょう。

特徴

ホッテントット・ドッグは、外見的にはアフリカニスと視覚ハウンドの中間のような姿をしていたとされています。頭部は比較的小さく、耳は先端が細い立ち耳と垂れ耳の両方のタイプが存在しました。毛並みは硬く、通常はグレーの毛色をしていました。

最も特徴的なのは、背中に見られるリッジバックと呼ばれる、毛並みの向きが他の部分とは逆向きに生えている一本の筋です。このリッジバックは、ローデシアン・リッジバックにも受け継がれており、ホッテントット・ドッグの血統を物語る重要な特徴となっています。

性格については、飼い主に対して忠実であったと伝えられています。猟犬としての使役が主だったため、勇敢で警戒心が強く、独立心も旺盛だったと考えられます。

ローデシアン・リッジバックとの関係

ホッテントット・ドッグは、ローデシアン・リッジバックの直接的な祖先です。ローデシアン・リッジバックは、ホッテントット・ドッグに様々なヨーロッパ犬種（グレート・デーン、ブルテリア、グレイハウンドなど）を交配して作出されました。そのため、ローデシアン・リッジバックは、ホッテントット・ドッグの特徴であるリッジバックを受け継いでいます。

参考文献

デズモンド・モリス著、福山英也、大木卓訳『デズモンド・モリスの犬種事典』誠文堂新光社、2007年

関連項目

犬の品種一覧

もう一度検索