ホットレッグス
ホットレッグスは、1970年代初頭、英国で活動したロックバンドである。特に、その年に発表された楽曲「ネアンデルタール・マン」の予期せぬヒットで、一躍その名が知られた。このグループは、後に世界的な成功を収めることになるバンド、10ccの結成へと直接的に繋がる重要な存在として位置づけられている。
バンドの中心メンバーは、マンチェスター郊外にあるストロベリー・スタジオを拠点としていたエリック・スチュワート、ケヴィン・ゴドレイ、ロル・クレームの3名であった。彼らはスタジオミュージシャンやセッションプレイヤーとしても活動しており、高度なスタジオ技術を持っていた。バンド名の「ホットレッグス」は、「ナマ脚」を意味する言葉で、当時スタジオに出入りしていた女性スタッフが着用していたホットパンツ姿にインスパイアされて名付けられたと伝えられている。彼らに加え、後に10ccで共に活動することになるグレアム・グールドマンも、この時期には既に彼らとの繋がりを持っていたが、「カセネッツ・カッツ」関連のセッションのために渡米中であったため、ホットレッグスの初期活動には直接関与していなかった。
1970年、当時としてはまだ目新しかった4トラックのマルチトラックレコーダーがストロベリー・スタジオに導入された。この新しい機材を使って、エリック、ケヴィン、ロルの3人は冗談半分で様々な音作りや録音の実験を始めた。その過程で生まれたのが楽曲「ネアンデルタール・マン」である。この曲は、原始人を思わせるリズムとシンプルな構成を持った、キャッチーなインストゥルメンタル・トラックであった（後にボーカルが加えられたバージョンも存在する）。当初は本格的なリリースを想定していなかったこの曲であったが、そのユニークなサウンドが関係者の耳にとまり、急遽シングルとしてレコード化されることが決定。バンド名義は「ホットレッグス」とされた。予想に反し、「ネアンデルタール・マン」は瞬く間に全英チャートで第2位という大ヒットを記録。さらにヨーロッパ各国のチャートでも上位に進出し、国際的な成功を収めた。
しかし、「ネアンダータール・マン」の予想外の大ヒットは、メンバーにとって大きな戸惑いを招いた。彼らは元々、特定のバンドとして活動を続けることを強く意識していたわけではなく、あくまでスタジオでの実験的な活動から生まれたプロジェクトという認識が強かった。そのため、突然のスターダムに怖気づいたメンバーは、プロモーション活動を積極的に行うどころか、アンティグア島へと文字通り雲隠れしてしまう。これにより、ヒットの波に乗ってバンドとしてのプレゼンスを確立する絶好の機会を逃すことになった。
「ネアンデルタール・マン」のヒットから数か月後の1971年3月には、彼らの唯一のスタジオ・アルバムとなる『シンクス : スクール・スティンクス』（Thinks: School Stinks）がリリースされた。しかし、既にシングルのブームは去っており、アルバムは商業的には振るわなかった。同年12月には、このアルバムに一部修正を加え、新曲を追加した改訂版アルバム『Song』も発表されたが、状況は変わらなかった。同年10月には、当時既にビッグネームであったムーディー・ブルースのツアーに前座として帯同する機会を得たが、ムーディー・ブルースのベーシストであるジョン・ロッジの急病によりツアーは途中キャンセル。ブレークの足がかりとはならなかった。しかし、このツアーからグレアム・グールドマンが正式に彼らの活動に合流。エリック、ケヴィン、ロル、グレアムの4人は、ホットレッグスとしての活動が停滞する中でも、スタジオワークやライブ活動を継続した。彼らは新たな方向性を模索し、その成果が1972年に「10cc」として発表された最初のシングルに結実し、以後、国際的な成功を収めることになる。ホットレッグスとしての活動は短命に終わったが、これは10ccという偉大なバンドが誕生するための重要なプレリュードであったと言える。
主要作品を以下に示す。
アルバム
『シンクス : スクール・スティンクス』 (Thinks: School Stinks) (1971年)
英国盤と米国盤で収録曲やミックスに違いがある。
『Song』 (1971年)
上記アルバムの改訂版。
コンピレーション・アルバム
『ホットレッグス』 (You Didn't Like It Because You Didn't Think of It) (1976年)
10ccの成功後にリリースされた全曲集。
『コンプリート・セッションズ1970-1971』 (You Didn't Like It Because You Didn't Think of It - The Complete Sessions 1970-1971) (2012年)
初期の録音を包括的に収録したコンピレーション。
シングル
「ネアンデルタール・マン」 / 「叩けよ、さらば開かれん」 ("Neanderthal Man" / "You Didn't Like it Because You Didn't Think of It") (1970年)
"Desperate Dan" / "Run Baby Run" (1970年)
英国では未発売。
"Run Baby Run" / "How Many Times" (1971年)
米国のみで発売。
"Lady Sadie" / "The Loser" (1971年)
ホットレッグス - Discogs（英語）
バンドの中心メンバーは、マンチェスター郊外にあるストロベリー・スタジオを拠点としていたエリック・スチュワート、ケヴィン・ゴドレイ、ロル・クレームの3名であった。彼らはスタジオミュージシャンやセッションプレイヤーとしても活動しており、高度なスタジオ技術を持っていた。バンド名の「ホットレッグス」は、「ナマ脚」を意味する言葉で、当時スタジオに出入りしていた女性スタッフが着用していたホットパンツ姿にインスパイアされて名付けられたと伝えられている。彼らに加え、後に10ccで共に活動することになるグレアム・グールドマンも、この時期には既に彼らとの繋がりを持っていたが、「カセネッツ・カッツ」関連のセッションのために渡米中であったため、ホットレッグスの初期活動には直接関与していなかった。
1970年、当時としてはまだ目新しかった4トラックのマルチトラックレコーダーがストロベリー・スタジオに導入された。この新しい機材を使って、エリック、ケヴィン、ロルの3人は冗談半分で様々な音作りや録音の実験を始めた。その過程で生まれたのが楽曲「ネアンデルタール・マン」である。この曲は、原始人を思わせるリズムとシンプルな構成を持った、キャッチーなインストゥルメンタル・トラックであった（後にボーカルが加えられたバージョンも存在する）。当初は本格的なリリースを想定していなかったこの曲であったが、そのユニークなサウンドが関係者の耳にとまり、急遽シングルとしてレコード化されることが決定。バンド名義は「ホットレッグス」とされた。予想に反し、「ネアンデルタール・マン」は瞬く間に全英チャートで第2位という大ヒットを記録。さらにヨーロッパ各国のチャートでも上位に進出し、国際的な成功を収めた。
しかし、「ネアンダータール・マン」の予想外の大ヒットは、メンバーにとって大きな戸惑いを招いた。彼らは元々、特定のバンドとして活動を続けることを強く意識していたわけではなく、あくまでスタジオでの実験的な活動から生まれたプロジェクトという認識が強かった。そのため、突然のスターダムに怖気づいたメンバーは、プロモーション活動を積極的に行うどころか、アンティグア島へと文字通り雲隠れしてしまう。これにより、ヒットの波に乗ってバンドとしてのプレゼンスを確立する絶好の機会を逃すことになった。
「ネアンデルタール・マン」のヒットから数か月後の1971年3月には、彼らの唯一のスタジオ・アルバムとなる『シンクス : スクール・スティンクス』（Thinks: School Stinks）がリリースされた。しかし、既にシングルのブームは去っており、アルバムは商業的には振るわなかった。同年12月には、このアルバムに一部修正を加え、新曲を追加した改訂版アルバム『Song』も発表されたが、状況は変わらなかった。同年10月には、当時既にビッグネームであったムーディー・ブルースのツアーに前座として帯同する機会を得たが、ムーディー・ブルースのベーシストであるジョン・ロッジの急病によりツアーは途中キャンセル。ブレークの足がかりとはならなかった。しかし、このツアーからグレアム・グールドマンが正式に彼らの活動に合流。エリック、ケヴィン、ロル、グレアムの4人は、ホットレッグスとしての活動が停滞する中でも、スタジオワークやライブ活動を継続した。彼らは新たな方向性を模索し、その成果が1972年に「10cc」として発表された最初のシングルに結実し、以後、国際的な成功を収めることになる。ホットレッグスとしての活動は短命に終わったが、これは10ccという偉大なバンドが誕生するための重要なプレリュードであったと言える。
ディスコグラフィ
主要作品を以下に示す。
アルバム
『シンクス : スクール・スティンクス』 (Thinks: School Stinks) (1971年)
英国盤と米国盤で収録曲やミックスに違いがある。
『Song』 (1971年)
上記アルバムの改訂版。
コンピレーション・アルバム
『ホットレッグス』 (You Didn't Like It Because You Didn't Think of It) (1976年)
10ccの成功後にリリースされた全曲集。
『コンプリート・セッションズ1970-1971』 (You Didn't Like It Because You Didn't Think of It - The Complete Sessions 1970-1971) (2012年)
初期の録音を包括的に収録したコンピレーション。
シングル
「ネアンデルタール・マン」 / 「叩けよ、さらば開かれん」 ("Neanderthal Man" / "You Didn't Like it Because You Didn't Think of It") (1970年)
"Desperate Dan" / "Run Baby Run" (1970年)
英国では未発売。
"Run Baby Run" / "How Many Times" (1971年)
米国のみで発売。
"Lady Sadie" / "The Loser" (1971年)
外部リンク
ホットレッグス - Discogs（英語）
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