ホテル ビーナス

映画『ホテルビーナス』

概要

『ホテルビーナス』は、草彅剛がチョナン・カンとして初めて主演を務めた日本映画です。しかし、その特徴は、全編韓国語の台詞と、主なロケ地がウラジオストクである点にあります。これにより、作品全体に独特な無国籍感が漂い、観客を異世界へと誘います。

この映画は、淡々とした中に重みのある台詞回し、そして猥雑さと清らかな美しさが交互に現れる映像を通じて、人生の物悲しさ、そしてその中で生きる希望を描いています。また、草彅剛とゆかりのある多くの著名人がゲスト出演しており、作品に華を添えています。さらに、作中では草彅自身が習得したタップダンスが披露され、それが物語の重要な鍵となっています。

キャッチコピーは「そのドアを開けるとき やさしさがあふれ そのドアを閉めるとき 涙があふれる」。この言葉が示すように、登場人物たちの心の機微が、観る者の心を深く揺さぶります。また、本作は世界四大映画祭の一つであるモスクワ国際映画祭において、コンペティション・パースペクティブ部門で最優秀賞を受賞しており、その質の高さが国際的にも認められています。

ストーリー

物語の舞台は、とあるストリートにひっそりと佇む「ホテルビーナス」。そこは、静かな老オカマであるビーナスが経営する、どこか影を背負った人々が集まる場所です。彼らは本当の名前さえ隠し、互いに寄り添いながら暮らしています。

ある日、小さな娘を連れた男が現れたことをきっかけに、彼らの日常は少しずつ変化していきます。それぞれが抱える心の傷と向き合い、過去を振り返りながら、人生を見つめ直していく様子が、丁寧に描かれています。

キャスト

チョナン：草彅剛が演じる、ホテルの下働き兼カフェのウェイター。過去の出来事に心を閉ざし、未来への希望を見出せずにいます。しかし、得意のタップダンスは彼の心の奥底にある情熱を表現しています。
ドクター：香川照之が演じる、かつて腕利きのヤミ医師だった男。現在はアルコール中毒となり、過去の栄光を失ってしまっています。彼の苦悩は、現代社会における医療の闇を象徴しています。
ワイフ：中谷美紀が演じる、ドクターの妻であり、元ヤミ看護婦。ホステスとして働きながら、夫の再起を願い、彼を支えようとします。彼女の献身的な愛は、観る者の心を打ちます。
ソーダ：チョ・ウンジが演じる、花屋で働く女性。明るい笑顔が印象的ですが、その裏では不本意な仕事に手を染めています。彼女の夢と現実のギャップは、多くの人々の共感を呼ぶでしょう。
ボウイ：イ・ジュンギが演じる、幼い頃にホテルビーナスに置き去りにされた孤児。強い存在への憧れから、常にピストルを所持しています。彼の孤独な姿は、現代社会の歪みを映し出しています。
ビーナス：市村正親が演じる、ホテルのオーナーである老オカマ。いつも静かに微笑み、宿泊者たちを温かく見守っています。彼の存在は、このホテルが単なる宿泊施設ではなく、人々の心の拠り所であることを示しています。
ガイ：パク・ジョンウが演じる、少女を連れてホテルにやってきた男。屈強な体格ながら、無口で人と関わることを避けています。彼の過去には、何があったのでしょうか。
サイ：コ・ドヒが演じる、ガイに連れられた少女。全く笑わず、食事にも手をつけませんが、チョナンにだけは徐々に心を開いていきます。彼女の無垢な姿は、この映画の希望を象徴しています。

その他、伊武雅刀、松尾貴史、勝村政信、田中要次、金子りずむ、ちすん、武居康仁、つんく♂（友情出演）、香取慎吾（友情出演）など、豪華なキャストが脇を固めています。

スタッフ

監督：タカハタ秀太
脚本：麻生哲朗
製作：亀山千広、椎名保、三枝照夫、迫本淳一
企画：大多亮、石原隆、清水信寿、久松猛朗
プロデューサー：小川泰、前田久閑、豊島雅郎、衛藤祐一郎
製作：アスミック・エース、フジテレビジョン、ビクターエンタテインメント、松竹
配給：アスミック・エース、松竹

主題歌・挿入歌

LOVE PSYCHEDELICO|LOVE_PSYCHEDELICO：「Everybody needs somebody」「Last Smile」「These days」「neverland」
KOKIA：「Desperado」（イーグルスのカバー）
イ・スヨン：「ラララ」
SMAP：「夜空ノムコウ」

関連事項

チョナン・カン
SmaSTATION!!

外部リンク

ホテル ビーナス - allcinema
* ホテル ビーナス - KINENOTE

もう一度検索