ホルヘ・セラノ・エリアス

ホルヘ・セラノ・エリアス：グアテマラの元大統領

ホルヘ・セラノ・エリアス（1945年4月26日生まれ）は、グアテマラの政治家であり、1991年から1993年まで同国の大統領を務めました。彼の政治キャリアは、民主化への移行期におけるグアテマラの複雑な状況を反映しています。

生い立ちと初期のキャリア

セラノはグアテマラシティで生まれ、サンカルロス大学とアメリカのスタンフォード大学で学びました。当初はカトリックでしたが、28歳の時にプロテスタントの教会に改宗しました。1976年のグアテマラ地震を機に政治活動を始め、アメリカの資本とプロテスタント団体の支援による復興を提案しました。1970年代にはキリスト教民主党に所属し、後に国民刷新党に移りました。

先住民の生活に関する著書を出版したことがきっかけで、極右勢力に命を狙われ、1981年にアメリカに亡命しました。1982年にエフライン・リオス・モントがクーデターを起こすと帰国し、国務会議の長官を務めました。セラノはリオス・モントと同様にプロテスタントでした。

1985年の大統領選挙では、革命党と国民和解民主党の候補として出馬しましたが、3位に終わりました。1986年には、自ら連帯行動運動という政党を組織しました。セレソ政権下では、URNGゲリラとの交渉を行うための国民和解委員会の重要な一員となりました。

大統領として

1990年の大統領選挙でセラノは連帯行動運動から出馬し、決選投票に進みました。この選挙にはリオス・モントも出馬を試みましたが、クーデターで政権を握った者の立候補は憲法で禁止されていたため、認められませんでした。決選投票でセラノが勝利したのは、リオス・モント派が彼を支持したことが一因と考えられています。しかし、セラノは特にプロテスタントの票を集めたわけではありませんでした。

1991年1月14日に大統領に就任し、20世紀のグアテマラで初めて民間人から民間人へと政権が平和的に移行しました。

大統領として、セラノはベリーズの独立を承認しました。彼の時代は、左派ゲリラと右派の死の部隊による暴力、麻薬密売といった問題に悩まされました。一方で、市民社会の組織による抗議活動や先住民の権利運動も発展し、1992年にはリゴベルタ・メンチュウがノーベル平和賞を受賞しました。セレソ政権から継続されていたURNGゲリラとの和平交渉は続けられましたが、政府とゲリラ、国連の求める和平案には大きな隔たりがあり、合意には至りませんでした。セラノは新自由主義的な経済政策を推進しましたが、学生や労働者からの反発を招きました。

自主クーデターと失脚

セラノ政権の基盤である連帯行動運動は、議会で少数勢力に過ぎませんでした。議会や司法機関との対立が深まる中、1993年5月25日にセラノは自主クーデターを敢行しました。これはスペイン語で「セラナソ」として知られています。このクーデターは、ペルーのアルベルト・フジモリ大統領による自主クーデターを模倣したものでした。

セラノは議会を解散し、憲法を停止しましたが、国内外からの強い抗議や経済制裁の動きを受け、軍部は反クーデターに転じました。6月1日、軍によってセラノ政権は倒され、6月6日には議会が人権問題オンブズマンであるラミロ・デ・レオン・カルピオを後継の大統領に選出しました。

セラノはエルサルバドルを経由してパナマに亡命し、現在も同地に居住しています。1993年7月26日には、セラノの車が狙撃される事件が発生しました。グアテマラ政府はセラノを犯罪者として送還するように繰り返し求めていますが、パナマ政府はこれを拒否しています。

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