ホレイス・レヴィット

ホレイス・ホール・レヴィット（Horace Hall Leavitt、1848年7月8日 - 1920年4月30日）は、19世紀後半に日本で活動したアメリカン・ボードの宣教師です。ユダヤ系の姓であるLeavittは、「レーヴィット」とも表記されます。

レヴィットは1848年、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ローウェルに生まれました。1869年にウィリアムズ大学を卒業後、1873年にはアンドーヴァー神学校を卒業し、宣教師として来日しました。彼は大阪を拠点に伝道活動を開始し、日本のキリスト教の発展に尽力しました。

レヴィットの活動の中で特筆すべきは、沢山保羅との出会いです。1875年、レヴィットはイリノイ州に留学していた沢山に会い、日本での伝道を勧めました。翌1876年に帰国した沢山を大阪に迎え、浪花教会や梅花女学校の設立を指導しました。これらの教会や学校は、初期の日本のキリスト教コミュニティにおいて重要な役割を果たしました。

しかし、レヴィットは極端な日本教会自給論を展開し、アメリカン・ボードのミッションとの対立を深めました。彼は、日本の教会は経済的にも組織的にも完全に独立すべきだと主張し、ミッションからの援助を拒否しました。この対立が深刻化した結果、1883年にレヴィットは本国アメリカに召還されることとなりました。

沢山保羅はレヴィットの再来日をたびたび求めましたが、レヴィットが再び日本へ派遣されることはありませんでした。アメリカに帰国後、レヴィットはアンドーヴァーで11年間、サマーヴィルで13年間牧会活動を行いました。また、沢山の後継者である成瀬仁蔵の米国留学の世話をするなど、日本との繋がりを保ち続けました。

レヴィットの日本での活動は短期間でしたが、日本のキリスト教界に大きな影響を与えました。彼の提唱した教会自給論は、日本の教会が経済的に自立し、独自の発展を遂げる上で重要な理念となりました。また、浪花教会や梅花女学校の設立は、日本のキリスト教教育の発展に貢献しました。しかし、ミッションとの対立という側面も持ち合わせており、彼の活動は複雑な歴史的背景の中で評価される必要があります。

参考文献
『キリスト教人名辞典』日本基督教団出版局、1986年

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