ホロウ・クラウン/嘆きの王冠

『ホロウ・クラウン/嘆きの王冠』は、ウィリアム・シェイクスピアの史劇を原作とするイギリスのテレビ映画シリーズです。百年戦争から薔薇戦争にいたる激動の時代を、シェイクスピア劇『リチャード二世』『ヘンリー四世』（第1部、第2部）、『ヘンリー五世』『ヘンリー六世』（第1部、第2部、第3部）、そして『リチャード三世』を基にドラマ化しました。

日本ではHuluでの配信や衛星劇場での放送に加え、2017年には劇場版も公開され、幅広い視聴者にシェイクスピアの史劇の世界が届けられました。イギリスではCycle I、Cycle IIとして放送されましたが、日本ではシーズン1とシーズン2に分けられ、それぞれ50分程度のエピソードに編集・分割されています。シーズン1は全11話、シーズン2は全8話で構成されています。

シーズン1では、『リチャード二世』から『ヘンリー五世』までの4作品が取り上げられ、百年戦争を中心に描かれます。まず、『リチャード二世』では、イングランド王リチャード2世と、従弟のヘンリー・ボリングブルック（後のヘンリー4世）の対立と、王位争奪戦が克明に描かれています。リチャード2世の失脚とヘンリー4世による新王朝の始まりが、緊迫感あふれるシーンで演出されています。

続く『ヘンリー四世』（第1部、第2部）は、ヘンリー4世とその息子（後のヘンリー5世）、そして親友フォルスタッフの物語です。王位を手に入れたヘンリー4世は、スコットランドやウェールズとの戦争、そして放蕩息子ハル王子（ヘンリー5世）との葛藤に苦悩します。この物語では、フォルスタッフというコミカルなキャラクターが物語に彩りを添えています。

シーズン1の最終章、『ヘンリー五世』では、フランスへの遠征とアジャンクールの戦いが描かれ、ヘンリー5世の活躍と、フランス王女キャサリンとの結婚が描かれています。この物語では、戦争の残酷さと勝利の喜び、そして人間の心の複雑さが丁寧に表現されています。

シーズン2は、『ヘンリー六世』（第1部、第2部、第3部）と『リチャード三世』を基に、薔薇戦争を巡る物語が展開します。まず、『ヘンリー六世』パート1、2では、フランスでのイングランドの敗北、ヘンリー6世の弱気な統治、ジャンヌ・ダルクの活躍、そして薔薇戦争の勃発が描かれています。ジャンヌ・ダルクの処刑など、歴史的事件も忠実に再現されています。

『ヘンリー六世』パート2では、薔薇戦争の激化、ヨーク家とランカスター家の激しい争いが描かれています。ヨーク公リチャードの死、エドワード4世の即位、そしてウォリック伯の反逆など、ドラマチックな展開が続きます。さらに、この物語では、歴史における女性たちの役割、例えばマーガレット・オブ・アンジューの執念深い復讐心なども描かれています。

シーズン2の最終章、『リチャード三世』では、残忍なリチャード3世の物語が描かれています。リチャード3世の策略、甥たちの殺害、そしてボズワースの戦いでリチャード3世が倒れるまでの様子が、リチャード三世の独白などを交えながら緊迫感高く描かれます。

このシリーズには、ベン・ウィショー、トム・ヒドルストン、ジェレミー・アイアンズ、ベネディクト・カンバーバッチ、ソフィー・オコネドーなど、イギリスを代表する名優たちが多数出演し、高い演技力でシェイクスピアの登場人物たちに命を吹き込んでいます。歴史、ドラマ、そして豪華なキャストと映像美が魅力の作品です。それぞれのエピソードは、シェイクスピアの戯曲に忠実でありながらも、現代的な解釈を加えた演出で、歴史に詳しくない人でも十分に楽しめる内容となっています。 シェイクスピアの時代劇に興味のある方はもちろん、歴史ドラマが好きな方にもおすすめの作品です。

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