ホワイトバンドプロジェクト

ホワイトバンドプロジェクトとは

ホワイトバンドプロジェクト（THE WHITEBAND PROJECT）は、2005年の「グローバル貧困撲滅キャンペーン（Global Call to Action Against Poverty ― GCAP）」の一環として始まりました。このキャンペーンは、各国政府に貧困対策を求める運動として、イギリスやアイルランドから世界各国へと広がりました。

キャンペーンの目的と手法

キャンペーンの目的は、貧困を世界の優先課題として認識させ、各国政府に貧困対策を促すことです。そのために、白いリストバンドを身に着けることで、貧困撲滅への意思表示を行いました。このリストバンドは、必ずしも販売されているものである必要はなく、身近にある白い布や紐でも良いとされました。

キャンペーンの特徴は、募金やグッズの売上を直接的な援助に使うのではなく、政府への政策提言活動の資金として用いる点です。これは、先進国がとる知的財産保護政策によって、エイズ治療薬が高価になっている現状を変えるために、政策レベルでの働きかけが効果的と考えられたためです。

欧米での展開

GCAPのイギリスでのキャンペーンは、「貧困を過去のものに（Make Poverty History）」という名称で展開されました。エチオピア飢饉の報道をきっかけに高まったアフリカ支援への関心を背景に、2000年の国連ミレニアム・サミットで採択されたミレニアム開発目標（MDGs）の達成を目指し、貿易ルールの是正、開発援助の改善、最貧国への債務帳消しといった政策変更を求めました。

2005年には、LIVE 8やホワイトバンドデーなどのイベントが開催され、キャンペーンは大きな盛り上がりを見せました。

日本での展開

日本では、「特定非営利活動法人ほっとけない世界のまずしさ」が中心となり、NGOのメンバーによって組織された実行委員会が運動を推進しました。株式会社サニーサイドアップの協力により、ホワイトバンドの製造・販売が行われ、中田英寿などのスポーツ選手や著名人がPR活動に参加しました。

日本版ホワイトバンドの特徴

日本で販売された白いゴムのリストバンドは、1本300円（税込）で、その内訳は製造費、流通費、広告費、事務局運営費、NGOの政治活動資金、消費税でした。バンドには、3秒に1人の子供が亡くなっていることを象徴する3つのアスタリスクが刻まれていました。

キャンペーンへの批判

ホワイトバンドプロジェクトに対しては、様々な批判がありました。欧米では、アフリカのイメージの使用に関する議論が起こり、人道支援キャンペーンにおけるイメージの自主規制の動きにつながりました。

日本では、募金が貧しい人々に直接届けられると誤解した人々から、実際には政策変更を求める活動資金に使われることへの批判が起こりました。また、ホワイトバンドの価格設定や売上金の使途、主催団体の信頼性などについても議論がありました。

日本での主な批判点

運動の目的や売上金の使途の不明確さ
ホワイトバンドの価格が他国と比較して高いこと
価格構成の不自然さ
主催団体の社会的信用
寄付先の団体の不透明さ

その後

批判を受け、2005年10月以降は、ホワイトバンドの販売時に「売り上げは貧困層への物的・金銭的支援には使われない」旨が明記されるようになりました。また、売上の一部が「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」に拠出されるなどの対応も行われました。

ホワイトバンドプロジェクトは、貧困問題への関心を高め、政策提言活動を推進する上で一定の役割を果たしましたが、その活動内容や資金使途については、様々な議論を呼びました。

関連項目

アウェアネス・リボン
アドボカシー
寄付
スラックティビズム
募金詐欺

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