アスタリスク

アスタリスク：星形記号の多様な役割

アスタリスク（）は、中心から放射状に伸びる線で構成された、広く知られた記号です。その形状はフォントによって異なり、5～6本の線を持つものが一般的です。名称は、ギリシャ語の「小さな星」に由来し、「アスタリスク」や「アステリスク」のほか、「星印」「星号」などと呼ばれます。

記号としての歴史と名称

アスタリスクは、後期ラテン語を経由して古代ギリシャ語の「小さな星」を意味する言葉から派生しました。日本語では「アスタリスク」や「アステリスク」の他に「星印」「星号」「星」などと呼ばれ、国語辞典では「アステリスク」で項目が立てられることが多いです。JIS規格では「星印」または「アスタリスク」と表記されます。

多様な用途

アスタリスクは、様々な分野で多様な役割を果たします。

脚注

最も一般的な用途は、脚注を示す記号です。短剣符（†）、二重短剣符（‡）と併用される場合も多く、アスタリスク、短剣符、二重短剣符の順に用いられる慣習があります。複数脚注の場合は、アスタリスクを複数並べる(, , …)、または脚注番号を添える(1, 2, 3…)方法が用いられます。翻訳書では、原書と翻訳者の注釈を区別する際にも利用されます。

コンピューター

コンピュータープログラミングでは、アスタリスクは特別な意味を持ちます。

演算子: 乗算や冪乗を表す演算子として使用されます。FORTRANがIBMのカードパンチ機の制約からアスタリスクを採用したことが、その起源と言われています。多くの言語で、`a b`は乗算、`a * b`は冪乗を表します。また、ポインタ演算にも使用されます。
ワイルドカード: 正規表現やグロブでは、任意の文字列に一致するワイルドカードとして使用されます。
SQL: SELECT句で全ての列を指定する際に用いられます。
UML: クラス図において、関連の多重度が任意であることを示します。
コメント: C言語などでは、`/ /`で囲むことでコメントを表します。
マークアップ: MarkdownやMediaWikiなどでは、太字、斜体、箇条書き、水平線の記述などに使用されます。

数学

数学においても、アスタリスクは様々な意味を持ちます。

集合の任意の一元
単項演算子（ホッジ双対、微分写像など）
二項演算子（畳み込みなど）
統計学における臨界点
アルゴリズムの命名

数学的な表記では、Unicode文字U+2217（∗）が用いられ、他の数学記号と揃った大きさのアスタリスクが推奨されます。

その他

言語学：非文の表記や、音韻論における仮構形の表記
電子メール：強調したい語句の表記
天文学：点状源の表記
バイオグラフィー：誕生や生を表す記号
パスワード入力：伏字
MLB記録：薬物使用疑惑のある選手への注釈
国際天気図：雪を表す記号
* 馬産：輸入馬の表記

類似の記号

アスタリスクと似た記号として、ダブルアステ(⁑)、アステリズム(⁂)、米印(※)、スターマーク(★、☆)などがあります。アスタリスクを回転させたものはスターマークとして電話機のボタンなどに使用されています。

まとめ

アスタリスクは、そのシンプルな形状ながら、脚注からプログラミング、数学まで、多岐にわたる分野で重要な役割を果たす記号です。その歴史と多様な用途を知ることで、より深く理解できるでしょう。

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