ホワイト・ビーチ地区

ホワイト・ビーチ地区：沖縄の複合的な軍事拠点

沖縄県うるま市に位置するホワイト・ビーチ地区は、アメリカ海軍が管理する重要な港湾施設です。勝連半島の先端部に広がり、美しい白砂の海岸線に沿って、二つの桟橋が海に突き出しています。この地区は、単なる港湾施設にとどまらず、米軍と自衛隊の基地が隣接する、複雑な様相を呈する軍事拠点としての側面も持っています。

施設の概要

ホワイト・ビーチ地区は、約157万平方メートルの広大な面積を誇り、アメリカ海軍と陸軍が共同で管理しています。主な用途は港湾施設ですが、宿舎、管理事務所、貯油施設、ミサイルサイト、ヘリポート、さらには遊興施設まで、多岐にわたる機能を有しています。アメリカ海軍の艦船への補給はもちろん、原子力潜水艦の寄港地としても利用されており、有事の際には海兵隊員の輸送拠点としても機能します。

位置情報は、北緯26度18分01秒、東経127度54分44秒です。管理部隊は、アメリカ陸軍トリイステーション基地管理本部と在沖アメリカ海軍艦隊活動司令部が担当し、使用部隊は、在沖アメリカ海軍艦隊活動司令部ホワイト・ビーチ事務所、第7艦隊第76機動部隊第1水陸両用部隊司令部、アメリカ海軍港湾業務部、アメリカ陸軍第505燃料補給大隊ホワイト・ビーチ事務所など、多岐にわたります。

歴史

ホワイト・ビーチ地区の歴史は、第二次世界大戦以前に遡ります。1941年、旧日本軍が陸軍戦車部隊の駐屯地として使用していました。1945年4月、沖縄戦でアメリカ軍が上陸すると、わずか数日で与勝半島を占領し、5月には海軍建設大隊が前哨基地の建設を開始しました。6月には水上飛行場の建設も始まり、7月から運用が開始されました。

1972年の沖縄返還の際、ホワイト・ビーチ港海軍施設、勝連半島陸軍地区、ホワイト・ビーチ貯油施設、嘉手納第2サイト（メースサイト）、西原陸軍補助施設Bサイト（ナイキサイト）が統合され、「ホワイト・ビーチ地区」として提供が開始されました。同時に、ホワイト・ビーチ港海軍施設の一部が海上自衛隊に移管されました。その後も、施設の移管や返還が繰り返され、現在の形に至っています。

空域と海域

ホワイト・ビーチ地区は、広大な海域と空域を擁しています。1997年に日米間の秘密合意で設定された「5.15メモ」で、ホワイト・ビーチ空域を含む5つの空域の存在が明らかになりました。これにより、北西海岸一帯が米軍の訓練空域・海域として利用されています。海域面積は約323.69平方キロメートル、空域面積は約325.27平方キロメートルです。

ホワイト・ビーチと核

かつて、ホワイト・ビーチ地区には、核兵器関連施設が存在しました。メースBサイトは、核ミサイルを搭載したメースミサイルの発射基地であり、ナイキハーキュリーズサイトは、地対空ミサイルであるナイキ・ハーキュリーズの発射基地でした。これらの施設は、冷戦時代におけるアメリカ軍の戦略上、重要な役割を担っていました。現在、これらの施設は返還されていますが、過去に核兵器が配備されていたという事実は、地域の住民にとって大きな懸念材料となっています。

ホワイト・ビーチの複合性

ホワイト・ビーチ地区は、米海軍と米陸軍の二つの桟橋を有しており、それぞれが重要な役割を果たしています。アメリカ海軍桟橋は、幅24メートル、長さ850メートル、アメリカ陸軍桟橋は、幅24メートル、長さ450メートルです。これらの桟橋は、物資の輸送や艦船への補給に使われ、原子力潜水艦の寄港も可能です。また、在沖米海兵隊員の訓練や輸送拠点としても活用されています。

さらに、ホワイト・ビーチ地区は、日本の自衛隊基地とも隣接しています。海上自衛隊の沖縄基地隊は、かつてのホワイト・ビーチ港海軍施設の一部を移管して設立され、陸上自衛隊の勝連分屯地は、西原第2陸軍補助施設の跡地に建設されました。これにより、米軍と自衛隊の基地が隣接する形となり、両者の境界線は曖昧になっています。

問題点

ホワイト・ビーチ地区は、在日米軍にとって非常に重要な軍事拠点であり、返還が難しい状況にあります。その理由の一つとして、原子力艦が入港できる港湾施設であることが挙げられます。また、米軍はアフガニスタンやイラクへの派遣艦船を、アメリカ本国から一度ホワイト・ビーチに寄港させています。

軍用地を巡る問題も深刻です。土地を強制接収された地主には、軍用地料が支払われていますが、相続税の問題などから手放す人も少なくありません。この軍用地が投資対象として市場で売買されるという、本末転倒な状況も生まれています。

ホワイト・ビーチ地区は、沖縄の歴史と米軍基地問題が複雑に絡み合った場所であり、その存在は、地域の住民にとって複雑な感情を抱かせるものです。

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