ホワイト式車輪配置

ホワイト式車輪配置

ホワイト式車輪配置は、機関車の車軸配置を表現するための記法の一つです。1900年にフレデリック・メスヴァン・ホワイトによって考案され、「American Engineer and Railroad Journal」で発表されました。この方式は、機関車の先輪、動輪、従輪の数をダッシュ(-)で繋いで表現します。

基本的な表記法

単純な構造の機関車では、先輪、動輪、従輪の数をハイフンで繋ぐだけで表現できます。例えば、先輪2軸、動輪8軸、従輪2軸の機関車は「2-8-2」と表記されます。

先輪: 機関車の前部に位置し、走行安定性を高める役割があります。
動輪: 機関車の中央部に位置し、機関車を駆動させる役割があります。
従輪: 機関車の後部に位置し、走行安定性を高める役割があります。

関節式機関車の表記法

関節式機関車は、車体の中間に関節部分があり、その前後に動輪が配置されています。この場合、関節部分を「+」で区切って表記します。例えば、ガーラット式機関車の一つである「double Pacific」は、「4-6-2+2-6-4」と表記されます。これは、前後の動輪がそれぞれ4-6-2の配置になっていることを示しています。

マレー式機関車のように、2つの走行装置の間に補助輪がない場合には、そのまま「-」で繋ぎます。例えば、ユニオン・パシフィック鉄道4000形蒸気機関車は「4-8-8-4」と表記されます。

末尾記号

ホワイト式車輪配置では、機関車の種類や特徴を示すために、末尾に記号が追加されることがあります。

T: タンク機関車、または炭水車（tender）付きの機関車を意味します。イギリスでは、Tがサイドタンク、PTがパニアタンク、STがサドルタンク、WTがウェルタンクを意味します。
R: ヨーロッパでは、「無し」を意味します。例えば、0-6-0RTと0-6-0TRは同じ意味で「炭水車無し」を表します。
VB: 垂直ボイラー式蒸気機関車を意味します。
F: 無火機関車を意味します。
CA: 圧縮空気式機関車を意味します。

内燃機関車においては、燃料と駆動方式によって記号が使い分けられます。Dがディーゼル機関車、Pがガソリン機関車を表し、後にMが付けば機械式、Eが付けば電気式、Hが付けば液体式となります。

電気機関車では、架線集電にOE、バッテリーロコにBEが用いられます。

その他、Rが軌道車、RTがラック式鉄道用機関車、Gがギアードロコを表します。

内燃機関車における表記

イギリスでは、小型のディーゼル機関車やガソリン機関車も、蒸気機関車と同じ方法で表示されます。普通従輪がないので、0-4-0, 0-6-0, 0-8-0のようになります。車軸がチェーンやシャフトで結合されている場合、あるいは全輪駆動の場合、4w, 6w, 8wのように表します。例えば4wPEは、四輪駆動ガソリンエンジン電気式トランスミッションを表します。大型ディーゼル機関車にはUIC式分類が用いられます。

通称との関係

アメリカ合衆国では、良く使われる車軸配置には通称が付いています。その通称は、多くの場合、その型を最初に採用した機関車の名前です。例えば2-2-0の通称はPlanetです。

ホワイト式車輪配置は、機関車の構造を簡潔に表現できる便利な記法であり、鉄道技術者や愛好家の間で広く利用されています。

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