ホンダ・アスコット

アスコット（Ascot）: 本田技研工業のセダン

アスコットは、本田技研工業が生産・販売していたセダン型乗用車です。車両は4ドアセダンのみの構成であり、初代は4代目アコードの姉妹車として1989年に登場しました。その後、2代目はインスパイアのプラットフォームを基にし、1993年にフルモデルチェンジが行われました。

初代アスコット（CB1/2/3/4型：1989-1993年）

初代アスコットは1989年9月13日に登場しました。アコードの生産終了に伴い、プリモ店での販売が行われました。アコードの先進的なデザインに対し、アスコットは明るい外観とフォーマルなデザインが特徴のセダンとなっています。本革シートを装備したモデルも存在し、内部のインパネはアコードとは異なるデザインが施されました。この時期、アスコットは基本的にアコードと共通の性能や機能性を維持しつつも、特異な存在感を持っていました。

エンジンには、アコードと同じアルミ合金ブロックの新開発F型を採用し、排気量は1.8Lと2.0Lがありました。しかし、1991年のマイナーチェンジで2.0Lの電子制御キャブレター仕様が廃止されました。アスコットのキャッチコピーは「Aセダン」で、初期のCMには俳優の菅原文太と山下真司が起用されました。バブル期に登場した車の中では販売台数が控えめであり、この要因から次期型ではより洗練された走行性能が求められました。

1990年には新たにスポーティなグレード「FBT-i」が追加され、CMソングにはエリック・クラプトンの「BAD LOVE」が採用されました。1991年7月には再度マイナーチェンジが行われ、フロントとリアデザインが刷新され、インパネのデザインもアコードとの共通デザインになりました。1992年には欧州市場向けにアスコットイノーバが登場し、1993年に生産終了となりました。

2代目アスコット（CE4/5型：1993-1997年）

2代目は1993年10月14日にアコードのプラットフォームを使用してフルモデルチェンジが行われました。新たにベルノ店専売のラファーガが姉妹車として登場しましたが、全幅を確保して室内の居住空間やトランクスペースが改善されました。

しかし、室内にミッションが張り出すFFミッドシップレイアウトにより、広さはやや劣っていたため、この点では5代目アコードには及びませんでした。エンジンは、直列5気筒エンジンのG20A型およびG25A型が選択肢となり、共にレギュラーガソリン仕様が採用されました。特に2.5Lモデルは3ナンバー登録となるため、さらなる運転の楽しさが提供されることを目指していました。

最後の販売期間中、アスコットはバブル崩壊の影響も受けており、施された改良では不十分だったため、販売成績は不振に終わりました。1997年には生産終了され、その後は新たに6代目アコードが登場し、アスコットシリーズは完全に終了しました。最終的に、アスコットの新車登録台数は約37,617台に達しました。

車名の由来

アスコットという名前は、英国のアスコット競馬やアスコット・タイに因んで名付けられました。これは上品で明るいイメージを持つ地名に由来しており、ブランドの高級感と魅力を際立たせています。アスコットシリーズはホンダのセダンラインアップの中で特別な位置を占めていました。

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