ホンダ・CBR250R

ホンダCBR250Rシリーズの系譜：MC17型、MC19型、MC41型、そしてCBR300R

この記事では、ホンダが1987年から2017年にかけて製造・販売した人気バイク、CBR250Rシリーズについて解説します。MC17型、MC19型、MC41型という3つの主要モデルと、MC41型をベースに排気量を拡大したCBR300Rを、それぞれの歴史的背景や技術的特徴、デザイン、販売状況などを交えながら詳細に見ていきましょう。

MC17型 (1987年-1988年)：ハリケーンの系譜

1987年3月、CBR250FOURの後継モデルとして登場したMC17型は「ハリケーン」のペットネームを冠しました。ベースとなったMC14型CBR250FOURからの変更点は大きく、フルカウル化によるレーサーレプリカスタイルの採用や、スイングアーム、ステップ廻りへのアルミ・ジュラルミン部品の多用による軽量化などが挙げられます。エンジンはMC14E型水冷4ストロークDOHC直列4気筒をベースに、キャブレターの口径拡大、排気管の大容量化、吸排気バルブの大径細軸化、レブリミットの向上など、性能アップのための改良が施されました。発売後、マイナーチェンジを経て、翌1988年にはMC19型へとモデルチェンジしました。

MC19型 (1988年-1990年)：進化したハリケーン、そしてその終焉

MC17型からフルモデルチェンジされたMC19型もまた「ハリケーン」のペットネームを継承していましたが、1989年のマイナーチェンジで公式には消滅しました。外観はCBR400RRを彷彿とさせるデザインとなり、ヘッドライトのデュアル化、ミラーのアッパーカウルへの装着など、スタイリッシュな面も大きく進化しました。エンジンはエアクリーナー容量の大型化、キャブレターの大口径化、燃料ポンプの搭載などの変更を受け、性能が向上。フレームも異形5画目の字断面アルミツインチューブフレームへと変更され、足つき性の向上も図られました。その後、何度かのマイナーチェンジを経て、1990年にはCBR250RRにモデルチェンジされました。

MC41型 (2011年-2017年)：グローバルモデルとしての新たな出発

2010年、PCXに続くグローバルモデルとして発表されたのがMC41型です。タイとインドで生産され、世界各国で販売されました。日本仕様車は2011年3月に発売開始。MC41型は、水冷4バルブDOHC単気筒エンジンを搭載し、世界初のオートバイ用ローラーロッカーアームを採用することでフリクションロスを低減。1次バランサーシャフトやサイレントカムチェーンなどの採用により、単気筒エンジンの振動を抑制し、高い静粛性を実現しました。また、PGM-FI電子式燃料噴射装置、O2センサーによるフィードバック制御など、環境性能にも配慮した設計となっています。

車体デザインは、VFR1200FやCBR1000RRで採用された「マス集中フォルム」を基調としたフルカウルスポーツモデル。鋼管トラス構造のダイヤモンド型フレームを採用し、高い走行性能と操縦性を両立しました。250ccクラスでは世界初となるコンバインドABS搭載モデルも設定されました。発売後もマイナーチェンジを繰り返し、ヘッドライトデザインの変更や出力向上、燃費向上など、継続的に改良が加えられていきました。2017年に生産終了となりましたが、その後のCBR250RRへと繋がる重要なモデルとなりました。

CBR300R (2013年-): 排気量アップによる高出力化

MC41型をベースに、ストローク量を拡大することで排気量を286ccへとアップグレードしたモデルがCBR300Rです。主に海外市場向けに販売されましたが、MC41型とは異なる変速比や減速比を持つことにより、最高出力30.8ps/8,500rpm、最大トルク2.7kgf・m/7,250rpmへと、パワーアップを果たしました。MC41型の生産終了後も、2021年時点においても一部地域では販売が継続されているなど、ロングセラーモデルとして高い人気を誇っています。

まとめ

CBR250Rシリーズは、時代を反映した技術革新とデザイン進化を遂げ、長きに渡り多くのライダーに愛されてきました。それぞれのモデルが持つ個性と魅力を理解することで、CBR250Rの歴史と進化をより深く知ることができるでしょう。 この記事が、ホンダCBR250Rシリーズへの理解を深める一助となれば幸いです。

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