ホンダ・CBR750

ホンダCBR750：1980年代を彩ったフラッグシップスポーツツアラー

ホンダが1987年に発売したCBR750は、同社のCBRシリーズにおける、日本国内向け750ccクラスの大型スポーツツアラーとして大きな注目を集めました。それまで、国内向けのCBRシリーズは250ccと400ccクラスに留まっていましたが、CBR750の登場によって、よりパワフルで洗練されたモデルがラインナップに加わったのです。

CBR1000Fとの密接な関係

CBR750は、海外市場で人気の高かったCBR1000Fと非常に近い設計思想を持っていました。車体構造においては、ほぼ同一のツインチューブダイヤモンド型フレームを採用し、多くの部品を共用する姉妹車関係にあります。これにより、開発コストの削減と高い信頼性の確保を実現しました。

スタイリッシュなデザインと高い性能

全長2,170mm、全幅720mm、全高1,185mmという車体は、フルカバードカウルによって覆われており、スポーティで洗練されたデザインが特徴です。250ccモデルにも使われていた「ハリケーン」のロゴがカウルに配され、力強さと個性を際立たせていました。

心臓部には、水冷4ストロークDOHC並列4気筒エンジン（RC27E型）を搭載。70.0mm×48.6mmのボア・ストローク、10.5という圧縮比、そして4基のVG60A型キャブレターによる燃料供給システムによって、最高出力77ps/9,500rpm、最大トルク7.0kg-m/6,500rpmというパワフルな性能を発揮しました。吸気ポートのストレート化や4-2-1-2の排気系、カムギアトレーンによるカムシャフト駆動など、性能向上のための工夫が凝らされていました。

走りのための装備

サスペンションは、フロントに39mm径のアンチダイブ機構付きテレスコピック（初期モデルは空気ばね併用）、リヤに油圧プリロードアジャスト機構付きのプロリンク式スイングアームを採用。これにより、優れた操縦性と快適な乗り心地を実現しました。ブレーキは前後ディスクブレーキで、フロントはダブルディスクとなっています。

タイヤサイズは、フロント110/80-17、リヤ140/70-18のバイアスタイヤ。ホイールベースは1,480mm、シート高は770mmに設定され、扱いやすさとスポーティな走りを実現しています。

細部へのこだわり

CBR750には、細部にもこだわった作りが見て取れます。ハンドルとトップブリッジのバフ研磨、アルミニウム製ステップとピリオンステップホルダー、ジュラルミン鍛造製のチェンジペダルとブレーキペダルなど、質の高い素材と丁寧な仕上げが、所有する喜びを高めました。また、メーターパネル内蔵の燃料計、樹脂レンズのハロゲンヘッドライトなど、機能性とデザイン性を両立した装備が充実していました。

モデルチェンジと生産終了

1987年2月10日に「CBR750スーパーエアロ」として発売されたCBR750は、同年、グッドデザイン賞を受賞するなど高い評価を獲得しました。しかし、1988年にはモデルチェンジを行い、「CBR750」として名称変更、カラーリング変更、ブレーキシステムの改良、装備の追加などを行い、販売目標を1500台に据えて販売されました。それでも1989年には生産が終了しました。

まとめ

ホンダCBR750は、1980年代後半のバイクシーンにおいて、高い性能と洗練されたデザインを兼ね備えた存在として、多くのライダーから愛されました。その力強いエンジンとスポーティな走り、そしてこだわりの作りは、今もなお多くのファンを魅了し続けています。

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