ホンダ・E型エンジン

ホンダ・E型エンジンの概要

ホンダ・E型エンジンは、1988年1月から2021年4月まで本田技研工業によって製造された直列3気筒のガソリンエンジンです。このエンジンは、軽自動車や初代インサイトといった多くの車両に搭載されていました。設計当初から高効率を追求し、長年にわたって様々な改良が施され、その結果、環境性能の向上や燃費の改善が図られました。

構造と機能

第1世代（E05A/E07A）

E型エンジンの初代は、直列2気筒のEH型エンジンの後継として開発され、小型軽量化を目指して設計されました。エンジンは主に2種類の構成があり、キャブレター仕様とPGM-FI（プログラム燃料噴射）仕様が存在します。

吸気と排気にはそれぞれ2つのバルブが設けられ、カムシャフトはタイミングベルトで駆動されるため、高い精度の燃焼が実現されていました。特に、3連シリンダーのアルミダイカスト製シリンダーブロックが採用され、軽量かつ耐久性を持った構造となっています。初代トゥデイが最初にこのエンジンを採用しました。

MTREC（E07A）

大容量の吸気チャンバーを搭載し、各気筒に独立したスロットルバルブを設けたMTREC（Multi Throttle Return Electronic Control）技術により、高出力を実現しています。この技術は、スロットル開度やエンジン回転数によって空燃比を調整することで、俊敏なレスポンスを生み出しました。

第2世代（E07Z）

1998年の軽自動車規格の変更に合わせて、新たに開発されたE07Zは、環境性能の向上と低燃費を実現します。圧縮比の最適化とダイレクトイグニッションの採用により、より効率的な燃焼が可能となり、排気ガス浄化の性能も向上しました。

リーンバーンVTEC（ECA）

この世代には、ホンダ初のハイブリッドカーであるインサイト用に特別に開発されたECAエンジンもあります。このエンジンは、1.0Lの排気量でありながら、効率を向上させるために構造がコンパクト化され、特にリーンバーンを可能にするための設計が施されました。これにより、稼働時の効率が大幅に改善されました。

歴史の流れ

E型エンジンは、1988年に初めてトゥデイに採用されたE05Aから始まり、1990年には660ccのE07Aが登場しました。続いて、1991年にはビートにMTREC技術を持つE07Aが用いられました。その後、1998年に新軽規格に対応したE07Zが開発されました。

特に1999年にはリーンバーンVTECを採用したECAがインサイトに初めて搭載され、2021年にアクティトラック用の最終モデルが製造終了するまで、33年にわたる歴史を刻みました。

このエンジンは、昭和・平成・令和という三代にわたり用いられた数少ないエンジンの一つであり、特に軽自動車の技術革新に貢献してきました。各モデルのバリエーションも豊富で、さまざまな車両に搭載されてきた実績があります。今後もこのエンジンの技術的進化を受け継いだ新たな開発が期待されます。

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