ホンダ・EV Plus

ハルシネーションと違うEV Plusとは？

本田技研工業がかつて生産・販売していた「EV Plus」は、ハッチバック型の電気自動車です。このモデルは、環境に配慮したゼロエミッション車の普及を目指し、特にアメリカのカリフォルニア州でのリース販売を中心に展開されました。実際に生産されたのは300台に限られ、他の地域でも少量がリースされました。

開発の背景と概要

EV Plusは、ゼロエミッション車普及プログラムに対応するために開発され、GMのEV1のようにカリフォルニア大気資源委員会（CARB）の指針に基づいています。外観は本田の小型ハッチバックのデザインを反映していますが、実際にはEV Plusは専用のプラットフォームに基づく電気自動車であり、ボンネットやウインドシールドの角度、ドアの形状においても従来のハッチバックモデルとは異なります。

本車両は日米の安全基準に基づいて設計されており、安全性にも十分配慮されています。特に、パワーユニットには水冷DCブラシレスモーターが採用されており、その性能は最高出力49 kW（連続定格）で、最大トルク275 N·mを発揮します。このモーターは高効率で、最高効率96％、平均効率90％を実現しています。

バッテリーと充電システム

EV Plusには、ニッケル水素電池を用いた12Vシール型Ni-MH電池が24個搭載されており、電圧は288Vに達します。充電は車載充電器を用いて家庭用のAC100VおよびAC200Vに対応できるため、家庭でも簡単に充電が行えます。アメリカではAvcon社の充電コネクターが使用され、減速時の回生エネルギーを活用して充電を行うことも可能です。充電時間は約6〜8時間とされ、1回の充電での走行距離はさまざまなモードで異なりますが、通常は220kmから最大350kmであるのが特徴です。

その他のスペック

• - 加速性能：0-50km/h まで4.9秒
• - 最高速度：130km/h以上
• - 走行距離：使用条件により異なるが、放電状態により160-190km

歴史と販売形態

本田技研は1988年4月から電気自動車の研究を開始。1993年の東京モーターショーではコンセプトカー「EVX」が発表され、その後、1995年に試作車が完成しました。1997年には生産開始が発表され、同年9月19日から日本国内でリース販売が始まります。アメリカでは36か月のリース契約が主流で、月々の利用料金にはメンテナンスや保険費用が含まれていました。

日本では26万5,000円の月額料金で少数販売され、その後大半がホンダに返却され解体されることになりました。このように、EV Plusはその生産数量が限られていたこともあり、電気自動車としての歴史に名を刻んでいます。

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