ホンダ・H型エンジン

ホンダ・H型エンジンの詳細

ホンダ・H型エンジンは、本田技研工業が手がける中型車専用の直列4気筒ガソリンエンジンです。全モデルがDOHCという仕様になっており、高性能が求められた設計が特徴です。このエンジンは、特にモータースポーツ用の基礎エンジンとしても広く使用されてきました。

機構

H型エンジンは、特に「DOHC VTEC」技術を取り入れています。初期型として、H22AおよびH23Aがあり、これらはF型エンジンの基本構造を継承しています。H型エンジンは、単体で80万円以上という価格帯で販売されており、その技術と細部にわたる設計精度が高く評価されています。エンジンの回転方向は、時計回りで設計された最後のホンダ製エンジンともなりました。

吸気と排気のそれぞれに2つのバルブを持ち、高回転時の性能向上のために最大リフト量が11.5mmに設定されています。このため、異形断面のバルブスプリングが使用されており、さらなる高域での追従性を確保しています。また、初期モデルにはアルミ製シリンダーブロックが採用され、クローズドデッキ構造が特徴でした。

エンジンの剛性を高めるためにFRM（ファイバー強化金属）を使用し、ボアピッチを狭めることでコンパクトさを追求しています。クランクシャフトはディープ・スカート形状を採用し、支持剛性を高めています。振動を抑えるために、バランサーも装備されており、使用者に高い走行性能を提供します。

インテークマニホールドにマルチポイント型のPGM-FIが装備され、各気筒にインジェクターが配置されています。可変慣性吸気装置も備え、エキゾーストマニホールドはステンレス製の4-2-1仕様が採用され、排気の抵抗を減少させ、効率を高めています。

H型エンジンの歴史

ホンダ・H型エンジンが市場に登場したのは1991年9月19日のことで、当初は4代目プレリュードにH22Aが搭載されました。1992年3月にはアスコットイノーバにH23Aが初めて搭載され、その後も様々な車種に展開されました。1996年には5代目プレリュード・タイプSにハイチューン仕様のH22Aが導入され、1999年には3代目アコードワゴンにもVTEC仕様のH23Aが搭載されました。しかし、2002年にアコードワゴンがモデルチェンジしたことにより、H型エンジンの生産は終了しました。

H型エンジンのバリエーション

H22A

• - 弁機構：DOHC VTEC ベルト駆動 吸気2 排気2
• - 排気量：2,156cc
• - 内径×行程：87.0mm×90.7mm
• - 燃料供給装置：電子制御燃料噴射式（PGM-FI）
• - 参考スペック（CL1 アコード・ユーロR）：

- 最高出力：162kW(220PS)/7,200rpm
- 最大トルク：221N·m(22.5kgf·m)/6,700rpm

H23A

• - 弁機構：DOHC ベルト駆動 吸気2 排気2
• - 排気量：2,258cc
• - 内径×行程：87.0mm×95.0mm
• - 燃料供給装置：電子制御燃料噴射式（PGM-FI）
• - 参考スペック（CC5 アスコットイノーバ）：

- 最高出力：121kW(165PS)/5,800rpm
- 最大トルク：211N·m(21.5kgf·m)/4,500rpm

H23A3（欧州仕様）

• - 弁機構：DOHC VTEC
• - 排気量：2,258cc
• - 内径×行程：87.0mm×95.0mm
• - 燃料供給装置：電子制御燃料噴射式（PGM-FI）
• - 参考スペック（CH9 アコードワゴン）：

- 最高出力：147kW(200PS)/6,800rpm
- 最大トルク：221N·m(22.5kgf·m)/5,300rpm

H型エンジンの搭載車種

• - H22A：プレリュード、アコード、アコードクーペ、アコードワゴン、アコードユーロR、トルネオユーロR
• - H23A：アスコットイノーバ、アコードワゴン
• - H23A3：ローバー623SLi

このH型エンジンは、ホンダ車の性能を支える重要な要素となっており、その革新性と高性能は多くのドライバーに愛されてきました。

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