ホンダ・RA108

ホンダ RA108について

ホンダ RA108は、2008年シーズンのF1世界選手権に向けてホンダが開発したフォーミュラ1カーです。このモデルは、ルーベンス・バリチェロとジェンソン・バトンという2人のドライバーによってドライブされ、シーズンの開幕戦から最終戦まで実際に使用されました。RA108は、その開発過程や性能、最終的な成績から多くの注目を集めました。

開発背景

RA108の開発は、2007年のシーズンに使用されたRA107の問題点からスタートしました。RA107は空力的なデザインに重点を置いた結果、非常に不安定な動きが目立ちました。その影響で、同じホンダの兄弟チームであるスーパーアグリF1チームのSA07にも遅れを取ってしまったことがありました。これを受けて、ホンダは空力設計を担当するロイック・ビゴワをウィリアムズから迎え入れ、新たな設計方針を模索しました。

ただし、ビゴワがRA108に与えた新しい設計下での進捗は、当初の予定よりも遅れてしまいました。また、チームの新たな代表としてロス・ブラウンが加入しましたが、彼は初期開発には関与していなかったため、チーム全体の開発プロセスには影響を及ぼしました。

特徴的なデザイン

RA108のフロント部分の設計は、当時のF1マシンでは重心を下げるためにノーズが低くなりがちでしたが、このモデルは逆にノーズが高く設計されています。これはイギリスGP以降、先端が下方にスラントした形状に変更されたためです。サイドポッドは、前年のRA107と同様のローバックダウンの処理が施されており、大型のバージボードも見られます。シーズン中も新たなエアロパーツ「ダンボウイング」や「エレファントイヤー」「シャークフィン」を投入し続けましたが、結果としてトップチームに追いつくほどの速度を得ることはできず、2009年シーズンに向けたリソースの多くがそちらに振り向けられることになりました。

成績と結果

シーズンを通じての入賞はわずか4回にとどまり、コンストラクターズランキングでは最下位の9位でシーズンを終了しました。ドライバーランキングにおいては、ルーベンス・バリチェロが14位、ジェンソン・バトンが18位という結果でした。このシーズンの結果は、ホンダのF1界における活動への影響を示し、最終的にホンダがF1から撤退する直接的な要因となりました。

技術スペック

RA108のシャーシ名は「RA108」で、全長は4,700mm、全幅は1,800mm、全高は950mmです。ブレーキキャリパーはアルコンとブレンボが採用されており、ブレーキディスクとパッドもブレンボ製です。ホイールはBBS、タイヤはブリヂストンが装着されています。また、エレクトロニクスはマクラーレンスタンダードECUを使用し、FIAのホモロゲーションを受けています。マシンの重量は605kgです。

RA108に搭載されているエンジンは「RA808E」と呼ばれ、V型8気筒の90度配置で排気量は2,400cc、最高回転数は19,000回転に達します。最大馬力は700馬力以上で、4バルブ/ニューマチックバルブシステムを備えています。スロットル駆動は油圧式、イグニッションはHondaのPGM-IGシステムが使われています。潤滑油はENEOSが採用されています。

結論

RA108は、ホンダがF1での競争力を維持しようとした努力の成果ですが、結果的にはホンダF1チームの活動の最終作となってしまいました。このマシンが持つ技術やデザインの進化は、その後のフォーミュラ1カーにも影響を与え続けています。

もう一度検索