ホンダ・RA273

ホンダ・RA273の詳細な解説

ホンダ・RA273とは、ホンダが1966年および1967年にF1世界選手権に参戦するために開発したフォーミュラ1カーです。その設計や技術的特徴は、当時のF1のエンジン規定の変更に大きく影響を受けていました。

エンジンの変更と設計

1966年、F1のエンジン規定において自然吸気エンジンの排気量が3000ccに引き上げられたことに伴い、ホンダは新たなV12エンジン「RA273E」を設計しました。この新エンジンは、入交昭一郎のもとで開発され、バンク角が従来の60度から90度に変更され、吸気と排気の配置も新たに設計されています。エンジンは、当初の設計目標である420馬力を目指しましたが、実際には400馬力を少し下回る出力が得られました。

エンジンの搭載方式も横置きから縦置きへと変更され、ギアボックスも独立した設計となりました。しかしこの改良にもかかわらず、RA273は依然として重いという課題を抱えていました。エンジンの単体重量は220kgに達し、総重量720kgと、規定の500kgを大幅に超超過していました。この理由は、マシンの耐久性を重視し金属が多用されたことに起因します。

操縦性の問題

RA273はまた、コーナリング時にトー角の変化が過大になるというトラブルも抱えていました。この影響を軽減するために、シーズン後半にはトレッド幅を20cm拡大したモデルが投入されましたが、期待された効果は得られませんでした。

1967年シーズンの変更

1967年には、新たにジョン・サーティースがドライバーとしてホンダに加わりました。彼の要望に応じてトレッド幅は中間に調整され、さらに軽量化を目的としてエンジンブロックとギアボックスの素材がアルミニウム合金からマグネシウム合金に変更されました。これにより合計40kgの軽量化に成功しましたが、冷却水とマグネシウムの反応により水素ガスが生成され、オーバーヒートの問題も発生しました。

現在の状態と保存

現在、ホンダ・RA273はツインリンクもてぎ内にあるホンダコレクションホールで保存されています。特に注目されるのは、7号車が近年新たに制作されたRA273Eエンジンを搭載しており、イベントなどで走行する姿を見ることができます。対照的に18号車は、保存されてから一度も走行していないようです。

プラモデルとしての人気

この車両は1967年にタミヤから1/12スケールのプラモデルとして販売され、当時としては高価な価格設定にもかかわらず、初回ロットの1万キットが瞬く間に完売するほどの人気を誇りました。このモデルは、通常目視では確認できない部分まで忠実に再現されていたため、社内で一時的に議論を呼びましたが、最終的にはホンダ関係者の理解を得て受け入れられることとなりました。

このように、ホンダ・RA273は技術力とデザインにおいて先駆的な要素を持つ名車であり、F1の歴史の中でも重要な位置を占めています。

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