ホンダ・X11

ホンダ X11：ネイキッドの最高峰を目指した挑戦

ホンダX11は、1999年に発売された大型ネイキッドバイクです。その開発コンセプトは、まさに「ネイキッドモデルの最高峰」。同社のスポーツバイク、CBR1100XXスーパーブラックバードをベースにしながら、開放感あふれるネイキッドスタイルと、ハイパフォーマンスを両立させることを目指しました。

CBR1100XXスーパーブラックバードとの関係性

X11は、メカニズム面ではCBR1100XXスーパーブラックバードと多くの共通点を持っています。フレームは、軽量かつ高剛性なアルミ合金製センターピボット構造モノボーンを採用。エンジンは、1137ccの水冷4ストロークDOHC4バルブ4気筒で、低中回転域のトルクとレスポンスの向上を図るため、バルブタイミングの変更などのチューニングが施されました。

しかし、単なるカウルレスモデルではありません。ネイキッドモデルとしての独自性を追求するため、細部にわたり変更が加えられています。例えば、トランスミッションは6速から5速へ変更。より心地よい鼓動感を出すため、バランサーもデュアルからシングルに変更されています。

闘牛をイメージしたスタイリングと先進技術

X11のスタイリングは、力強い闘牛をイメージしたデザインが特徴的です。特に目を引くのは、大型のラジエーターシュラウド。内部のルーバー形状と角度によってダウンフォース効果を生み出し、中高速走行時やコーナリング時の安定性向上に貢献しています。また、このシュラウド内には、アルミ製の5段コアオイルクーラーとラジエーターが組み込まれています。

燃料供給にはPGM-FI電子式燃料噴射装置、マフラーはオールステンレス製の4-2-1-2タイプを採用。サスペンションは前後輪ともホンダ・マルチアクション・システム（H.M.A.S.）を採用し、前後輪にそれぞれ強力なディスクブレーキを装備。前輪は310mmローターと3ポットキャリパーのダブルディスク、後輪は256mmローターと3ポットキャリパーのシングルディスクで、前後連動のDual CBS（デュアル・コンバインド・ブレーキ・システム）も搭載されています。

メーターは、速度計と回転計をメインとした2眼式。昼夜で文字色が変わる視認性の高いデザインです。また、速度計内にはオドメーター/トリップメーター、回転計内には水温計が配置され、情報が見やすい設計となっています。

日本と海外市場での展開

X11は、海外市場ではCB1100SFという車名で販売されました。日本国内では、1999年11月、1000台限定で発売。平成12年排出ガス規制に適合させるため、エアインジェクションシステムが追加され、カラーはミュートブラックメタリックのみの設定でした。海外市場では、2003年モデルをもって生産終了となりました。

まとめ：ネイキッドの新たな境地を開いたX11

ホンダX11は、単なる派生モデルではなく、独自の個性と高い性能を両立させた、ネイキッドバイクの傑作といえるでしょう。1000台限定生産という希少性も相まって、中古市場でも高い人気を誇っています。その力強いデザインと、洗練されたメカニズムは、多くのライダーを魅了し続けています。パワーとハンドリングのバランス、そして独特のスタイリングは、現在でも多くのバイクファンから高い評価を得ている理由と言えるでしょう。X11は、ホンダの技術力の高さと、ネイキッドモデルへの挑戦を象徴するモデルとして、バイク史に名を刻みました。

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