ホンダ・XLV750R

ホンダXLV750R：パリダカールラリーへの挑戦と、そのレガシー

ホンダXLV750Rは、1983年に本田技研工業から発売された、750ccクラスのデュアルパーパスモデルです。その開発背景には、過酷なパリダカールラリーへの挑戦がありました。1982年の同ラリーでXR500改が優勝したものの、より強力なワークスマシンを求めるホンダの技術陣は、新たな挑戦としてXLV750Rの開発に着手したのです。

革新的な技術とデザイン

XLV750Rは、既存のXLシリーズとは一線を画す、数々の革新的な技術を採用していました。最大の特徴は、シリーズ初となるV型2気筒エンジンです。749ccの水冷エンジンをベースに、空冷化、オイルクーラーの追加、ドライサンプ方式への変更など、過酷なラリー走行に耐えうるよう、徹底的な改良が施されました。また、耐久性と信頼性を高めるため、シャフトドライブを採用した点も特筆に値します。

デザイン面においても、XLV750Rは力強さと精悍さを兼ね備えた独特のスタイルを確立しました。角型断面鉄製ダブルクレードルタイプのフレーム、プロリンク式リアサスペンション、そして特徴的なHRCワークスカラーである青・白・赤のトリコロールカラーリングは、多くのライダーを魅了しました。

300台の限定生産と、その後の展開

XLV750Rは、当初海外輸出向けとして開発されましたが、日本国内でも300台限定で発売されました。その希少性から、現在ではコレクターアイテムとして高い人気を誇っています。

1985年にはマイナーチェンジを行い、カムシャフトプロフィールやキャブレターセッティングの変更、カラーリングの変更などが実施されました。しかし、パリダカールラリー参戦は諸事情により実現せず、公道走行モデルのみの販売となりました。1986年に製造が終了すると、後継モデルとしてアフリカツイン(XRV650/750)が誕生します。

ラリーレイドからツーリングまで、多様な魅力

XLV750Rは、ラリーレイドをコンセプトに開発されましたが、その高い走行性能と耐久性は、ツーリングマシンとしても高く評価されました。未舗装路の走破性と高速巡航性能を両立したその高い実用性は、市場においてアドベンチャータイプのバイクの先駆けと言えるでしょう。その高いポテンシャルは、後のホンダのアドベンチャーツーリングモデルにも受け継がれていくことになります。

XLV750Rの技術的特徴：詳細

XLV750Rは、その希少性と高い性能から、現在でも多くのファンを魅了し続けています。パリダカールラリー参戦という夢は叶いませんでしたが、その挑戦の精神と、卓越した技術は、後世に受け継がれるホンダのレガシーとして、輝き続けています。

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