ホーム・ネイションズ

ホーム・ネイションズ（Home Nations）

ホーム・ネイションズとは、ブリテン諸島における特定の地域や組織を総称する際に用いられる言葉です。その具体的な意味合いは、使われる文脈によって異なってきます。

政治的な定義

政治的な場面でこの用語が使われる場合、それは英国（グレートブリテン及び北アイルランド連合王国）を構成する四つの国や地域、すなわちイングランド、スコットランド、ウェールズ、そして北アイルランドを指すのが一般的です。

スポーツにおける定義

スポーツの分野では、ホーム・ネイションズの意味はやや複雑になります。特に、アイルランド島全体を単一の競技団体が統括しているような場合（例：ラグビーユニオン）には、グレートブリテン島にある三つの地域（イングランド、スコットランド、ウェールズ）に、アイルランド島全体（アイルランド）を加えた四つを指して「ホーム・ネイションズ」と呼ぶことがあります。

この二重の意味が生じる背景には、1800年から1922年までアイルランド全島が連合王国の一部であった歴史があり、その後のアイルランド島の分割を経ても、スポーツによっては全島を代表する組織が存続していることに関係しています。なお、「ホーム・カントリーズ」という言葉も同様の意味で使われることがあります。

その他の使用例

特定の団体によっては異なる定義で使用されることもあります。例えば、英国自転車連盟は、コモンウェルスゲームズに参加する連合王国と王室属領（マン島、ジャージー、ガーンジー）から成る計七つのチームを指してこの言葉を使用することがあります。ただし、王室属領は連合王国の一部ではありません。

主要なスポーツでの使用

サッカー

サッカーにおいては、歴史的にホーム・ネイションズは連合王国を構成する四つの代表チーム、すなわちイングランド、アイルランド、スコットランド、ウェールズを指していました。アイルランド島の分割後、サッカーのアイルランド代表はアイルランド共和国を、北アイルランド代表はアイリッシュ・フットボール・アソシエーションがそれぞれ統括していますが、歴史的な経緯からこれら四つのチームをまとめてホーム・ネイションズと呼称することがあります。

近年では、2012年のロンドンオリンピックに際し、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの各サッカー協会が合同の英国代表チームへの選手派遣を巡って議論した際、関係者を指す言葉として「ホーム・ネイションズ」が使用されました。

ラグビーユニオン

ラグビーユニオンにおけるホーム・ネイションズは、この用語が特に広く知られている分野の一つです。

1883年には、イングランド、アイルランド、スコットランド、ウェールズの四者間で初の「ホーム・ネイションズ・チャンピオンシップ」が開催されました。この時期、アイルランド全島はまだ英国の統治下にあったため、アイルランド代表もホーム・ネイションズの一員と見なされました。1910年にフランスが大会に加わり、「ファイブ・ネイションズ・チャンピオンシップ」と改称されました。

アイルランド島が北アイルランドとアイルランド自由国（後のアイルランド共和国）に分かれた後も、ラグビーでは島全体を代表する単一のアイルランド代表チームが活動を続けており、連合王国の一部ではなくなった現在も、慣習的にホーム・ネイションズの一つと呼ばれることがあります。

大会はフランスの一時的な離脱（1932年から1939年まで）に伴い再び「ホーム・ネイションズ・トーナメント」に戻った時期もありましたが、第二次世界大戦による中断を経て、1947年にフランスが復帰してファイブ・ネイションズが復活しました。そして、2000年にイタリアが新たに加わったことで、現在の「シックス・ネイションズ・チャンピオンシップ」となっています。

ラグビーユニオンにおけるホーム・ネイションズ関連の用語には以下のものがあります：

三冠（トリプルクラウン）: ホーム・ネイションズの一チームが、同年のシックス・ネイションズにおいて他のホーム・ネイションズ三チーム全てに勝利することです。
ブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズ: イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドのホーム・ネイションズ四地域から選抜された選手によって結成される合同チームです。
* グランドスラム: 南半球のナショナルチーム（ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカなど）が、欧州への遠征中にホーム・ネイションズの四チーム全てに勝利することです。

ホーム・ネイションズという言葉は、その歴史的背景と多様な用いられ方によって、複数の意味合いを持つ興味深い表現と言えます。

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