ホーリネス分裂事件

ホーリネス分裂事件の概要

ホーリネス分裂事件とは、1933年から1936年にかけて日本ホーリネス教会で起こった内紛を指します。この事件は教会内部の教義や運営方針を巡る対立から発展し、最終的には二つの異なる宗派を生むこととなりました。

発端

1930年代初頭、日本ホーリネス教会は大きな活気を帯び、リバイバル運動が盛んでした。しかし、初代監督である中田重治の聖書解釈が独特の方向に進化し、教会内の緊張感が高まりました。特に1932年に行われた「聖書より見たる日本」の講演では、日本民族の独自の使命を強調し、再臨運動や日ユ同祖論を極端に主張しました。これは教会内部での意見の分裂を招く結果となりました。

教育方針の対立

1933年に入ると、中田は教職者に対して自らの方針に従うよう求め、教会の運営方針を再臨とユダヤ民族をテーマに変えようとしました。しかし、これに反発する教授たちが現れ、教義への見解が対立することになりました。臨時総会が招集され、中田の監督解職の提案が出されましたが、それに対して中田は訴訟を提起するなど、事態は泥沼化していきます。

臨時総会と解職

教会内の臨時総会では、中田の監督解職案が提示され、圧倒的多数によって可決されました。この決定を受けて、新たに委員会制度が導入され、監督職を代行する五人の委員が選出されました。これにより教会は中田側と委員側に分裂し、それぞれが支持基盤を持つようになりました。

中田の反発

解職された中田は臨時総会の合法性を否定し、法的手段による抗議を準備する一方で、機関紙でも自身の見解を発表しました。この頃、教会内では中田派と委員派の対立が激化し、神田事件という象徴的な出来事が起こりました。

和解の試みと分裂の確定

1935年には和解を試みる緊急会議が開かれましたが、実質的な解決を見ることはできませんでした。中田と委員側のリーダーたちは数回にわたり面会を試みましたがいずれも未解決に終わりました。最終的に、1936年にメソジストの指導者らの仲介により両者の間に和協覚書が成立しました。それにより、教会は「きよめ教会」と「日本聖教会」として正式に分裂したのです。

この分裂事件は、日本のプロテスタント教会に大きな衝撃を与え、それぞれ異なる方向性を持つ組織に変わることとなりました。これにより、個々の信者や教会がどのように形作られていくかが加速されたのです。ホーリネス分裂事件は、近代日本における宗教的な対立の一例として後世に伝えられることとなります。

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