ホールド・オン・タイト

エレクトリック・ライト・オーケストラ（ELO）「ホールド・オン・タイト」解説

「ホールド・オン・タイト」(Hold On Tight)は、エレクトリック・ライト・オーケストラ（ELO）が1981年に発表した楽曲です。

概要

この曲は、ELOのアルバム『タイム』からシングルカットされ、大ヒットを記録しました。軽快なギターとピアノが印象的なロックナンバーです。

実はこの曲、当初は『タイム』に収録される予定はありませんでした。レコード会社からの強い要望、曰く「『ドント・ブリング・ミー・ダウン』のようなヒット曲を！」というプレッシャーを受け、アルバム完成後に急遽ジェフ・リンが書き下ろしたものです。

アルバムのコンセプトとは異なる路線の曲であったため、ジェフ・リンは曲順に頭を悩ませ、最終的にアルバムの最後に唐突に始まる形で収録されました。当初のアルバムエンディングは異なっていたという説もあり、「21世紀の男」の後に「エピローグ」につながっていた、または「バウンサー」が挟まれていた、などの説が存在します。

『タイム』は全曲がミュージックランド・スタジオで録音されたとされていますが、「ホールド・オン・タイト」は例外的にロサンゼルスでレコーディングされました。この時のエンジニアは、後にアルバム『シークレット・メッセージ』でメインエンジニアを務めるビル・ボトレルでした。

当初、ジェフ・リンはレコード会社の意向でこの曲をアルバムに入れたことに不満を感じていたようですが、結果的に曲がヒットし、前向きな内容がアルバムのストーリーを完結させる形となったため、現在は納得しているようです。2000年発売のベストアルバム『フラッシュバック』のコメントでは、この曲を好きな曲として挙げています。

ライブでは1980年代の定番曲でしたが、2001年の再結成以降は演奏されていません。

ミュージックビデオ

この曲のミュージックビデオは、制作費4万ポンドという当時としては破格の予算で制作されました。ほぼ全編が白黒で、1940年代の連続活劇風の映画にメンバーの演奏シーンが挿入された、映画の予告編のような構成となっています。

特筆すべきは、挿入されている日本語字幕です。カタカナの誤字や文法的に不自然な表現が含まれており、日本人には意味不明な内容となっています。

この字幕の文言は、おそらく「ハイファッション」1981年8月号の記事から引用されたものと思われます。記事では、当時注目を集めていたミュージックビデオディレクターのラッセル・マルケイを紹介しており、「ビジュアルアートにおけるニュー・パイアレットたち」という記事タイトルや、「オーストラリア生れのディレクター，ラッセル・マッケイ［ママ］」という一文が、MVの字幕に引用された可能性があります。

ただし、「ホールド・オン・タイト」のMVの監督はマイク・マンスフィールドであり、ラッセル・マルケイは関与していません。

その他

この曲の3番の歌詞は、1番の歌詞をフランス語に翻訳したものです。

まとめ

「ホールド・オン・タイト」は、ELOの代表曲の一つであり、そのキャッチーなメロディとユニークなミュージックビデオで多くのファンを魅了しました。制作の裏側には様々なエピソードがあり、ELOの歴史を語る上で欠かせない一曲と言えるでしょう。

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