ボグダン3世 (モルダヴィア公)

ボグダン3世独眼公

ボグダン3世独眼公（1479年3月18日 - 1517年4月20日）は、15世紀末から16世紀初頭にかけてモルダヴィアを治めた公です。彼の独眼公という異名は、片目を失明していたことに由来し、同じく「盲目公」とも呼ばれています。これから彼の生涯と治世における重要な出来事を振り返ります。

出生と家系

ボグダン3世は、ルーマニア東部のフシでモルダヴィア公シュテファン3世とその妻マリア・ヴォイチシャの間に生まれました。シュテファン3世の嫡男の中で、成人した子供はボグダン3世のみでした。彼の治世は、父の後を受け継ぐ形で始まりました。

ポーランドとの対立

ボグダン3世は、即位した直後にポーランド王アレクサンデルの妹であるエリーザベトとの結婚を望みました。しかし、領土割譲に関する二度の献納を経ても、王からの承諾は得られませんでした。これを受け、ボグダン3世はポーランド南部を急襲し、対立が激化します。1506年には、和平条件としてカトリック教会に対する寛容な姿勢が求められ、両国は一時的な和解に達しましたが、アレクサンデルの死後、和平は破綻し、再び戦争状態に陥りました。

さらに、ボグダン3世は1510年にドニエストル川での戦闘で敗北を喫し、和平交渉を余儀なくされます。加えて、同年にはモルダヴィアがクリミア・タタールの侵略を受け、その国土が荒廃しました。この侵攻では、実に74,000人が奴隷として連れ去られたとされます。しかし、彼は1512年にはタタールに勝利し、国土を奪還することに成功しました。

オスマン帝国への臣従

1514年、ボグダン3世はタタールの脅威に対抗するため、オスマン帝国への臣従を決定しました。宰相タウトゥを皇帝セリム1世の元に派遣し、条件について交渉しました。オスマン帝国との取り決めでは、モルダヴィアは年4,000ドゥカートの貢納を行い、馬や鷹の贈呈を約束しました。代わりに、オスマン帝国からは戦時の支援を受けることができるという合意に至りました。

ボグダン3世は、制約のある中でも自ら率いる精強な軍隊を維持しつつ、モルダヴィアには一定の自治権が認められることとなりました。

生涯と私生活

ボグダン3世は、片目を失った後もなお、モルダヴィアの統治に努めました。彼の失明は、治世の初期における戦闘での負傷によるものとされており、その影響を受けながらも様々な戦争に立ち向かいました。また、彼はスターナ、ナスターシャ、さらにワラキア公ミフネアの娘ルクサンドラという数人の妻を持ち、家族を築きました。

ボグダン3世は1517年に亡くなり、著名なプトナ修道院に埋葬されています。彼の治世は、モルダヴィアの歴史において重要な位置を占めており、その名は今でも語り継がれています。

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