ボストンコモン

ボストン・コモン：アメリカ最古の都市公園

ボストン・コモン、またはザ・コモンは、マサチューセッツ州ボストン市中心部に位置する、アメリカ合衆国で最も古い都市公園です。1634年に創設されたこの公園は、トレモント通り、パーク通り、ビーコン通り、チャールズ通り、そしてボイルストン通りに囲まれた約20ヘクタールの広大な敷地を誇ります。南端からは、ロクスバリーのフランクリン・パークまで続く緑地帯「エメラルド・ネックレス」の一部にもなっています。

歴史：植民地時代から現代まで

元々はウィリアム・ブラックストンという人物の私有地でしたが、マサチューセッツ湾植民地のピューリタンによって買収され、共有地となりました。初期の頃は牛の放牧地として利用されていましたが、過放牧の問題が生じ、やがて制限が設けられ、最終的には放牧は禁止されました。

アメリカ独立戦争以前は、イギリス軍の駐屯地としても使用され、レキシントン・コンコードの戦いの発端ともなった場所でもあります。公開処刑場としても利用され、複数の処刑が行われた歴史も持っています。中でも、クエーカー教徒のメアリ・ダイアーの処刑は、有名な出来事として伝えられています。

食糧不足を訴える市民による暴動や、公園内の整備、地下鉄建設による地形変更など、ボストン・コモンの歴史は、ボストン市の発展と複雑に絡み合っています。20世紀には、ベトナム反戦運動の抗議集会など、重要な社会的イベントの舞台ともなりました。

公園としての整備と発展

1728年には、ロンドンのセント・ジェイムズ庭園を模した遊歩道が造られ、公園としての整備が進められました。1830年代には牛の放牧が完全に禁止され、公園としての利用が本格化しました。1837年には、隣接地にボストン・パブリック・ガーデンが造られ、さらに緑地が拡大しました。しかし、両公園を繋ぐチャールズ通りの低地は湿地帯であり、ゴミ捨て場として利用されるなど、課題もありました。地下鉄建設によって大量の土壌が得られたことにより、ようやくこの低地の改良が可能になりました。

現代のボストン・コモン

現在では、ボストン市民や観光客にとって、憩いの場、そして様々なイベントの開催場所として親しまれています。コンサート、抗議集会、ソフトボール大会、さらには冬季のアイススケートなど、多様な催しが開催されます。マーティン・ルーサー・キングやヨハネ・パウロ2世といった著名人も、この公園で演説を行っています。

1987年には、アメリカ合衆国国定歴史建造物に指定され、その歴史的、文化的価値が広く認められています。ボストン公園局によって管理されており、民間団体による支援も受けながら、その保全と発展が続けられています。近年では、大規模なカボチャランタンのイベントなども開催され、世界記録を達成するなど、話題を呼ぶイベントも開催されています。

公園内の主な特徴

グラウンド

ビーコン・ヒル南に位置する。
フリーダム・トレイルの南に位置する。
ソフトボール球場が南西部にある。
西側に広がる芝生は、大規模イベントの開催場所として利用される。地下駐車場もある。
1913年と1986年には、先史時代の遺跡が発見されている。
カナダ・ノバスコシア州から毎年寄贈されるクリスマスツリーが設置されている。（2003年以降）

建造物

歴史的な銘板や記念碑が多く存在する（例：ボストン虐殺事件記念碑、南北戦争戦没者慰霊碑など）。
フロッグ・ポンド（冬季はアイススケートリンク）
ブリュワー・ファウンテン（噴水）
パークマン・バンドスタンド（野外ステージ）
ボイルストン駅とパーク・ストリート駅（地下鉄）

近隣の建造物

マサチューセッツ州会議事堂
ボストン・パブリック・ガーデン
エマーソン大学
サフォーク大学

恒例イベント

シェイクスピア・オン・ザ・コモン
アウトドア・オペラ・シリーズ
ボストン・クリスマス・ツリー点灯式
* 年越し花火

ボストン・コモンは、単なる公園にとどまらず、ボストンの歴史、文化、そして人々の生活を象徴する、重要な場所となっています。

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