ボストン級ミサイル巡洋艦

ボストン級ミサイル巡洋艦

ボストン級ミサイル巡洋艦は、アメリカ海軍の艦船の一つで、ミサイルを搭載した重巡洋艦です。この艦級は、ボルチモア級重巡洋艦を基に改装され、テリア艦対空ミサイルを初めて搭載した事例として知られています。このような改装によって、アメリカ海軍は艦隊の防空能力を大幅に向上させました。

背景

第二次世界大戦の終了を迎える頃から、アメリカ海軍は新しい艦隊防空火力の必要性を認識し、艦対空ミサイルの開発に着手しました。その中でも特にテリアシステムは、早期に開発が進められ、艦対空ミサイルとして実用化されました。当初は大戦型巡洋艦を改装してテリアシステムを搭載することが計画され、1948年7月にはその検討が始まりました。

改装は1952年度予算の下で、ボルチモア級重巡洋艦の2隻が対象となり、1955年と1956年にそれぞれ再就役しました。これがボストン級ミサイル巡洋艦であり、アメリカ海軍の防空ミサイル艦の新たな黎明を迎えたこととなります。

設計・改装

ボストン級の設計は、当時の巡洋艦の仕様を考慮して最低限の改装が施されました。具体的には、艦の後方部が改装され、テリアミサイル発射装置が2基搭載される形に変更されました。また、煙突は従来の構成から一本化され、艦尾には従来の20.3cm連装砲と12.7cm連装砲が取り外され、火器管制をサポートするレーダーが新たに装備されました。

一方で、艦首側の兵装はボルチモア級時代のものがそのまま維持され、20.3cmの3連装砲が2基残されていました。このため、対空ミサイルの運用が順調であれば、将来的には艦首側も改装してミサイルをさらに搭載することも計画されていました。しかしながら、運用成績が良好であったにも関わらず、他の艦の改装が優先されたため、追加改装は実施されませんでした。

また、改装時に装備されるレーダーも定期的に更新され、1966年には対空捜索レーダーがAN/SPS-37A、高角測定レーダーがAN/SPS-30にそれぞれ更新されました。しかし、1960年代中期には初期型のテリアシステムが時代遅れとなったため、1968年には艦種記号を従来のCAに戻し、ミサイルは全て撤去されました。このため、1970年には艦砲射撃を主要任務として再運用されました。

同型艦

ボストン級には、他に同じ設計に基づく艦がいくつか存在しますが、最も重要視されるのはボルチモア級をもとにした改装モデルです。これらは、アメリカ海軍の防空能力を向上させる上で重要な役割を果たしました。

参考文献

• - ガーディナー, ロバート. 「Conway's All the World's Fighting Ships 1947-1995」
• - 梅野, 和夫. 「アメリカ巡洋艦史」『世界の艦船』第464号
• - 大塚, 好古. 「米艦隊防空艦発達史」『世界の艦船』第769号

これらの改装により、ボストン級ミサイル巡洋艦は、時代の変化に対応した艦船としての歴史を持っています。

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